青い春とかいて【zm】 ページ7
せいしゅん、と読む。
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晴れた日の昼、暑い暑いと私は言いながら勝手に拝借してきた鍵で屋上のドアを開ける。少ししか開けていないのに分かる日差しの強さに思わず目を細めた。
顔だけをだしきょろきょろと周りを窺い誰もいないことを確認して足を踏み入れる。あぁ、気持ちいいと伸びをしてドアに鍵を閉めた。
以前少しガラの悪い先輩が入ってきたことがあったのだ。…まぁ平和的に解決できたからよかったものの、二度目はないだろう。
端に寄せてあった日傘代わりのパラソルを開きその下で涼む。さて今日は何をするかとスマホをいじりつつ反対の手に双眼鏡を構える。色々な情報を選別して行く。
『屋上に行くと、恐ろしい目に合う』
へっと笑う。情報源を探るべくいくつかのタブを往復すればやはり先日の先輩が言いふらしていたらしい。
「お、Aやん。早いな」
「ゾム先輩やないですか。さっそくこの間の事噂になってますよー」
ほれ、と携帯の画面を見せる。屈みながら覗き込んだゾム先輩はにい、と三日月を描いた。楽しそうですね、と言いそうになるのを堪え口を開く。
「…あれ、ここの鍵閉めてませんでしたっけ？」
「うん」
「……え？」
一体どこから入ってきたのだと視線で党と先輩が指を指したのは何もないフェンス。…まさか下の階の窓から上がってきたとでもいうのだろうか。真実を知るのが恐ろしくなりそれ以上は何も言ってくれるなと私は携帯を渡したままフェンスに近寄り双眼鏡を覗き込む。
「面白いことどっかに落ちてないですかねー…」
「大先生の浮気話は？」
「あぁ、もう飽きました」
そう言えばぶはっと吹き出す音が聞こえた。一応仲の良い友人だったはずだが、彼もなかなか酷い。双眼鏡の倍率をちきちきと変えグラウンドの顔を一つ一つ見ていく。
「…あ、コネシマ先輩だ」
「なんや、シッマみたいなのがタイプなんか」
「え？いやまあかっこいいとは思いますけどタイプではないですね…」
「……ふーん」
固い声が聞こえたと思ったら次は機嫌のよさそうな声が聞こえた。情緒が不安定なのかと深くは突っ込まずに双眼鏡を目から離した。フェンスに背中を預けゾム先輩を見る。日陰で私の携帯をさも当たり前のようにいじっている。
「気になることありましたー？」
「んー…これ、やな」
そう言って指差した画面には
『A、好きな人がいるらしいぜ』
そう、書かれていた。
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作者名：むぎ | 作成日時：2017年8月13日 22時
