【d!】As you wish【短編集】 (ページ4)

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｢わたしは、先輩に相応しくありません。…先輩はとても凄い人です。そんな先輩の隣は、私では務まりません。｣

緊張からか、喉が乾き張り付いた。無い唾をゴクリと飲み込み無理やり声帯を震わせる。

｢だから、私は先輩の隣に立てるよう、先輩のいなくなった生徒会を引っ張って見せます。二年間で、先輩がいた時よりも素晴らしい学校にして見せます｣

そして、

｢もし、もし先輩がその時まで私を好きでいてくれたなら、｣

もう一度、迎えに来てくれませんか。

先輩に対し、あまりにも失礼な言葉に叱られてしまうだろうかと体を縮こませる。然し怒ったときの低い声は聞こえてこず、代わりに堅い声が部屋に響いた。

｢…分かった。精々頑張ることだな｣

｢…！はい！｣

軽く礼をし、顔を上げると先輩は扉に手をかけていた。その耳はほんのり赤く、私の赤い顔をさらに赤くさせる。

そのまま出ていってしまった先輩の姿が消えるとへにゃりと床に座り込んだ。顔を覆う。

ドキドキと高鳴る胸が煩い。

数分その状態で固まり、勢いよく顔を上げる。
私は彼に宣戦布告をした。そして彼はそれを受けて立ってくれた。
なれば、その期待に応えなければなるまい。
二年、たかが二年。されど二年。

まずはこの文化祭を大成功に収めてみせると私は軽く腕を捲り書類に向き直った。

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