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1年目 トントン ページ10

tn視点

ぼくはあの夜、豚(トン)と小屋で遊んでいた。

犬のようにボールを追いかけて走る豚、

その豚がピタリと動きを止めた。

ガガ、ガガガガガガ!と大きな音を立てて、小屋が揺れた。

僕は咄嗟に豚を抱き寄せて物から離れた。

この小屋のドアは動物達が逃げないように開きにくい作り外に逃げるのは絶望的だった。

そうこうしてるうちに、小屋は崩れた。

僕は豚だけは守ろうと、必死で背中を丸めた。

自分と同じ名前をつけた、初めて世話を任された、相棒。

どんな時でも面倒を見なきゃならない。

揺れが収まり、崩れるのも収まった頃には電気も空調も止まって、

向かいの割れた窓から入ってくる風がさらに僕の体を凍えさせた。

tn「豚、お前は暖かいなぁ」

必死に抱き抱えて、助けを待った。

眠れずどんどん薄ら明るくなる、いつまでたっても、助けは来ない。

オトンは、オカンは……他の子屋の動物達は大丈夫か。そんなことを考えながら夜がふけるのを待った。



何時間たっただろう、もう限界で意識が飛びそうだ。

目を閉じようとした時、

「大丈夫ですか?」

美しい声が聞こえた。

その声に答えなければと思い。

tn「まぁ、大丈夫ですわ。」

笑みを浮かべられてるだろうか、それすらも分からない。

再び目を開ければ、隣村のシスター、
こちらに手を伸ばし

「さぁ、捕まりなさい。」

その手に思わず豚を差し出した。

tn「まずこいつ助けてくれや」

シスターは少し驚いた、顔をしたが。頷いて、豚を引き上げた。

そしてまたすぐ伸ばされる手。

でも掴むことは出来ない。この小屋は俺がいるから人一人入れるスペースが出来た。俺が少し動けば崩れる。

それを伝え豚だけ任せ、去ってもらおうとしたが、
なぜか、さらに近づく手

「直ぐに引きあげますから。」と言われたが、

自分でゆうのもなんだが、僕は太っていて、同じ5歳でも体格が全く違う。シスターのその華奢な腕では引き上げるのは無理だと思った。

しかし、折角伸ばされた手を払うことも出来ず、足に力を入れ、シスターが引き上げた瞬間に飛び出る準備をした。

そして、覚悟をして腕を掴んだ。

杞憂だった。

僕は一瞬にして外に出た。どこから出たのか不思議な程のバカ力で、僕は引き上げられた。
目を閉じて再び開けばもう外で

まさにあっと言う間だった。

ポカーンとした顔をしてるのだろう。

僕はシスターと、その脇の豚を抱えた少年に感謝した。

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卍エシラ(プロフ) - リルトさん» あの方と言ったらこの番号。 (2020年4月22日 8時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
リルト(プロフ) - 被検体の番号(名前)に悪意を感じた今日この頃 (2020年4月22日 8時) (レス) id: 7c1c59fee6 (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 夜さん» 次だれにしようか悩み中です。 (2020年4月1日 15時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
- 度々コメント失礼します!お話の続きはもう書かれないんですか?続きがどうなるのか気になります!書く予定でしたら、いくらでも待つので更新頑張ってください! (2020年4月1日 15時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 夜さん» ご愛読ありがとうございます (2019年11月27日 20時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:卍エシラ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月6日 2時

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