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『グルッペン様』

gr「どうした」

『こちら、確認お願いします』

内容にあまり目を通さず、グルッペンに流す。

謹慎期間が終わり、総統秘書としての初日、総統室に向かえば、何故か総統室に秘書席も設けられていた。
トントンに理由を尋ねたらグルッペンが決めたことだ、と言われ。
グルッペンに訊けば駄目か、と逆に訊かれ。

否定するのに困る言い方をする辺り、グルッペンは狡いと思う。それは才能か、経験か。

gr「ふぅん………困ったな、これは」

『どうなさいましたか?』

gr「割と難しい問題だな……」

私の問いは無視、腕を組んで本格的に考え始めた。

背後に回りグルッペンが見ている紙を見ると、

『…大変ですね、これは』

友好条約を結んでいる国から参戦依頼が届いていた。戦争相手もまた我々国と友好条約を結んでいた。
相手からも参戦依頼が届くのは目に見えている。

『どうしますか』

gr「両方とも滅ぼすか、無視するかだな」

『…勘弁してください』

どちらかを裏切るだとか見捨てるだとかいった行為はしないらしい。裏切るなら、見捨てるなら両方。

gr「それにしても難しい。悪いが、トン氏を呼んできてくれないか?」

『はい』


これは、私の予想だけれど。
グルッペンは、予想の斜め上の発想をする。

『失礼します、トントン様』

tn「ん、どうした?」

『グルッペン様が、トントン様を呼んでこい、と』

tn「…あー、分かった。すぐ行くから」

一瞬で全てを察した眼をした。それでも嫌そうではなく、寧ろその目は今までの疲れが一瞬にして飛んだかのように、

輝いていた。

______


tn「あー……これはー……」

os「これは……どうしようね」

たまたま歩いていたオスマンも捕まえ、3人で話し合っている。一応私も参加しているけれど、アウェー感がどうも拭えない。

tn「オスマン先生、条約ってどんなの結んだん?」

os「普通だよ?お互い戦争で大変だったら助け合いましょうねー、不可侵ですからねー、みたいな?」

tn「………どっちも?」

os「どっちもやで」

それは確かに良い内容だとは思う。
でも重なると問題が生まれる。

どうすれば解決できるか。


…そういえば私、まだヘーベアンに贈り物してない。
もしかすると、上手く使えるかもしれない。

だって、“贈り物が届けば宣戦布告される”から。

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作者名:黒猫 | 作成日時:2018年9月13日 22時

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