30 ページ30
中は綺麗で、この少女?の性格が表れていた。
入るなり、ショッピは持っていた荷物を渡す。
syp「これ、桃のタルト。一緒に食べましょ」
「…いつもごめんなさい、ありがとう」
syp「別に良いですって。俺が好きでやってることだし」
…何か、性格違う。
ちょっと待っててください、と言って奥へ消えていく少女。姿が見えなくなり、小声でショッピに問う。
『あの人が誰かは気にしないけど、どうして私を此処に連れてきたの?』
syp「え、何となくっすけど」
『雨じゃないと駄目な理由ってあるの?』
そう問うと、少し奥を気にしながら更に小声になる。
syp「此処、バレたく無いんで。晴れてたらゾムさん辺りが尾けてくるに決まってる」
気づかれたくない程、彼女は何か秘密を抱えている。ショッピが庇おうと思うくらい、重大な秘密を。
『…バレたくないなら、私を連れてこなければ良かったのに』
思わず本音が飛び出す。
その言葉に目を見開いたショッピは、目を伏せ自嘲気味に笑う。
syp「俺一人じゃ、きっと重すぎたんすよ。誰かと分け合いたかった。それだけっすから」
グルッペンに気づかれたくない。
つまり幹部に気づかれたら駄目ってことでしょ?
なのにグルッペンに一番近い私に言う。
…よく分からない、やっぱり。
「お待たせしました、食べましょう。えっと…紅茶で、よかったですか?」
私を見て問う少女。
首肯すると、安堵の表情を浮かべた。
syp「いただきます……ん、美味っ」
『いただきます。…うん、美味しいですね』
今回の対象はこの少女だから、敬語は許される。
「本当に。…ありがとう、いつもこんなに美味しいものをくれて。本当はダメなんでしょ?」
syp「大丈夫。もう少しで申請したのが通るはずだから、次来るまでには堂々と街を歩けるようになってるはず」
…え、何それ私知らない。
そこで、やっと理解できた。
何故ショッピが私を連れてきたのかが。
syp「ね、そうっすよね?」
『…………』
分かってて訊いてる。
ズルい。
『やるよ、やればいいんでしょ!?』
半ギレ。
…ごめんなさい少女、怯えないでね。
「ありがとうございます……!!私、外に出てみたくて、だから、嬉しい、です」
幹部に気づかれてもいい内容だけど、気づかれたくない気持ちも分かるかな。
仕事を抜け出してこんなことしてるってバレたら大変だから。
90人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒猫 | 作成日時:2018年9月13日 22時