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…ちょっと待って、宿を提供すると言った手前、彼を送らないといけなくない?
tn「A、頼んだで」
でしょうね、そうだと思いました。
返事はネディンの後を追うことで済ませた。
『お待ちください、ネディン殿』
「…誰かと思えば。何、プライベートですか?」
『いえ、今晩の貴方が滞在する場所までご案内させていただきます』
ため息を吐くネディン。
心底疲れたような顔でこちらを見る。
「キャラ作るの、嫌なの、分かる?」
『ええ、分かっております。ですが私は、演じるのが好きですから』
「______、____。…行きましょう、案内してくれるんですよね?」
ネディンの唇が動いたけど聞き取れなかった。
独り言だということにしよう。
『そうですね、向かいましょうか』
それが嘘だと、信じたい。
…聞き取れなかったけど、動きで読み取れた。
本当に、何考えてるか分かんない。
·
·
『こちらです』
「へえ……中々良いですね」
『中々って…正直ですね、その意見は上に通しておきましょう』
「正直なのは分かってたでしょう、それに貴女だから言ったんですよ、幼馴染みだから」
なにそれ。
「…まぁいいです。本日はありがとうございました。それではまた、近いうちにお目にかかります」
角度、タイミングと完璧な礼をするネディンに対して曖昧な笑顔しか浮かべられなかった。
ネディンが去っても、そこに立ち尽くしていた。
そこにタイミングよく現れたのが。
rb「あれ、Aやん。外出てたん?」
『あ…エーミールさん、ロボロさん。そうですね、仕事でしたけど』
eml「仕事?」
疑問符を浮かべるエーミール。当たり前か。
『ええ。トントンさんにおつかいを頼まれまして。今から帰るつもりでしたが、お二人も?』
rb「ん、今帰るとこだった。一緒帰ろ?」
『あ、…それは、』
一応シャオロンの従妹だっけ、そういう設定になってるし。幹部として正式に発表されてないし、ね?
『すみません、少し寄りたいとことがあって』
eml「…分かりました、お気をつけて」
目でロボロを促して去るエーミール。
大人の対応って、こういうことなのかな。
…グルッペンと鬱先生が隠れてたあの喫茶に行こうかな、久しぶりに。
良い意味でも悪い意味でも思い出の場所だから。
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作者名:黒猫 | 作成日時:2018年9月13日 22時