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tn「A、」
恐る恐る声をかけてくるトントン。
割れ物を扱うかのよう。
『トントンさん。…お願いが、あるんです。』
まだ慣れない。
でも自分で決めたことだし、実行しないと。
『あの、その…えっと、……私、決めたんです。これから皆に敬語を出来るだけ使わない、って。だから、少しだけ、手伝ってください』
tn「??…まぁ、良いけど。要は敬語禁止令出せばOKなんやな?」
『はい。…すみません、助かります』
察しがよくて助かる。
頼りになるなぁ、トントンは。
tn「それはいいとして…オスマンの悪戯による来客、宜しくな」
『…は?』
tn「第二外交官殿、お仕事です」
この叫びたい衝動は何処に、誰にぶつければいいの。オスマン、…貴方はなんて悪戯を。
『ちなみに、何方がいらしているのですか』
tn「ネディン、だっけか。ウルカの」
『…そうですか』
悪戯、というか最早嫌がらせ?
全然嬉しくないサプライズ。
tn「どうする?」
『勿論、行きますよ』
トントンの横を通りすぎる。
さっきとは違い、笑顔で。
.
『今度は本物…』
「何だそれ、偽物来てたのか?」
『そうなんだよね、』
本物で少し安心した。
幼馴染みで遊ぶことは許さないからね。
『で、どのようなご用件ですか、ネディン書記長兼第一外交官殿?』
すかさず外交モード。
ネディンの雰囲気も引き締まった。
「…ここにヘーベアンが居ると聞いて、我が国が引き取ろうと考えておりました、急な訪問となり申し訳ありません」
…ちょっと待って、どういうこと。
ヘーベアンを、引き取る?
なんで、理由は。
「彼は大変有能だ。貴女が欠けた分を補ってくれるだろう。そう考えました」
『仰る通りですが、そんな、急に幹部に起用すると…!?』
「貴女には言われたくありませんね、A総統秘書兼第二外交官」
目が本気だ。
…確かに、私にはそんなことを言う権利はない。
私が、そうだったから。
『…彼は現在、書記長の管轄です。私を通す必要性を感じません』
「それならば、」
先程までとは違う、低く威圧的な声。
…まるで、グルッペンみたい、なんて。
ネディンと目を合わせると、柔和な笑顔を浮かべた。
「場所を移しましょう、長話になりそうだ」
どうやら、簡単に諦めてくれなさそうだ。
思わず苦笑いし、応接室へ向かった。
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作者名:黒猫 | 作成日時:2018年9月13日 22時