第9話 ページ11
*チーノ side*
レイ「そんな事ありません！！！」
突然声を張り上げた彼女に、ポカンと目を丸くしてしまう。
チ「え……？」
ここで、その通りだと言って離れてくれれば……どんなに楽だったか。
レイ「貴方は……不安でいっぱいだった私に、優しく笑いかけてくれた。たくさんの事を、私が理解できるまで丁寧に教えてくれた……」
違う……違うんよ、レイ。
君に向けてた優しさも、笑顔も……全部、偽物で＿＿＿。
レイ「それだけじゃありません！ 初めての任務の時……本当は、怖くて怖くて仕方なかった。だけど…貴方が居てくれたから、笑って隣に居てくれたから……！ だから私は───あの日から今日まで、戦い続ける事ができた！！」
チ「っ……！！」
違う。それは、本当の俺じゃ……。
レイ「貴方はっ……私の恩人で、尊敬する自慢の先輩なんですっ！！」
チ「レ、イ……」
彼女の真っ直ぐな言葉を受け、喜びと罪悪感が同時に押し寄せてくる。
……ずっと、誤魔化そうとしていた。
幹部たちと笑い合う
総統に「おかえり」と出迎えられる
彼女と……レイと接するごとに苦しくなる、この気持ちも。
全部……認めたくなかったから。認めるわけには、いかなかったから。
だから必死に偽った。周りを騙し、自分さえも騙そうとした。
だけど……これ以上彼女を前にすると、もう騙しきれない気がしてしまって。
だから……だから、なんとかして遠ざけようとしたんだ。
それなのに彼女は……疑う事もせず、純粋に俺を慕い、付いてこようとしている。
ここで彼女を突き放せるほど、俺は……賢くなれなかったらしい。
チ「……こんな、頼り無い先輩やけど…これからも、付いてきてくれるん……？」
レイ「もちろんです！ 貴方と共に在る限り……私は、何度でも戦えます」
薄く微笑むその顔に魅せられたかのように、俺は自然と彼女を受け入れていた。
彼女のみを瞳に映す、今この瞬間だけは……“目的”の事も何もかも、忘れる事ができた───。
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空文 晴霧(プロフ) - suzurei/鈴玲さん» ありがとうございます！ 頑張ります！ (2020年3月30日 12時) (
レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
suzurei/鈴玲 - 更新頑張ってください…！応援してます！ (2020年3月30日 12時) (レス) id: 54995dabe3 (このIDを非表示/違反報告)
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