第35話 ページ38
*レイ side*
地下まで下りて他に誰も居なくなったのを見計らい、チーノ先輩は深く息をついた。
チ「あんのクソ姉貴……まーた化粧ケバくなっとったわ。ホンマ、顔見るだけで吐き気する……」
レイ「な、なんか…チーノ先輩とあまり似てませんね……」
チ「あ、ホンマ？ そう言ってくれて嬉しいわ〜。てか、縄キツすぎひん？ 大丈夫？」
心配そうにそう言いながら、チーノ先輩は私を気遣うように支えてくれている。
レイ「はい、大丈夫ですよ。あんまり緩すぎても困りますしね」
チ「まぁ、それもそうやけど……ごめんな、しんどい役やらせてしまって」
レイ「気にしないでください。先輩のお役に立てるのなら、どんな形でも嬉しいです」
チーノ先輩の作戦では、私が牢に入っている間に、チーノ先輩が我が軍の情報を全て消去し、代わりにアリメンターレに関する情報を盗み出す。
そして、チーノ先輩が私を解放して一緒に逃げる……という流れだ。
チ「っと……やっと着いたわ」
しばらく歩き、ようやく牢屋まで辿り着いた。
チ「ほんなら……すまんけど、少しここで待っててくれ。すぐに迎えに来るから」
レイ「は、はい……」
いざ牢の中に入ると……少し、心細くなってしまう。
チ「……レイ」
レイ「？ なんです＿＿＿」
名前を呼ばれて顔を上げた、次の瞬間───私は、チーノ先輩に抱き締められていた。
レイ「えっ…えっ……!?」
突然の事にあたふたしてしまう私の耳元で、チーノ先輩は優しく
チ「絶対に、戻ってくる。だから……信じて、待っててくれ」
そう言ってチーノ先輩は、私を抱き締める力を少し強めた。
レイ「……はい、信じてます。必ず……迎えに来てくださいね」
チ「ああ、もちろんや」
チーノ先輩が私を放してふっと微笑んだその時、第三者の足音が聞こえてきた。
それに気付き、チーノ先輩は素早く牢の外に出る。
兵士「お疲れ様です、王子」
チ「あ、君が見張り？ ほんなら、あとはよろしくな〜。大事な情報源なんやから、手荒に扱ったらアカンよ」
恐らく偽物であろう笑みを貼り付け、チーノ先輩はその場から去っていった。
その遠ざかっていく後ろ姿を見送りながら、軽く息を吐く。
───大丈夫ですよ、チーノ先輩。
何があろうと私は……貴方を、信じてますから。
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空文 晴霧(プロフ) - suzurei/鈴玲さん» ありがとうございます！ 頑張ります！ (2020年3月30日 12時) (
レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
suzurei/鈴玲 - 更新頑張ってください…！応援してます！ (2020年3月30日 12時) (レス) id: 54995dabe3 (このIDを非表示/違反報告)
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