偽善【osmn】 ページ34
ねぇA。
俺って、誰の為に生きてるんや。
勿論、人間誰しも生きる理由があって生まれた。のに、生きる"理由"を失った。
ある程度人間の骨格としてはくっきりとしてきた時期の頃。
友人の親が死んだ。
原因は事故死。
その時の道路周辺は霞んでいて濃霧に包まれていた。
そいつは悲しんだ。人生全ての涙を流しきったというくらい泣いていた。
俺も悲しんだ。一緒に泣いて、一緒に分かち合った。
同時に、下腹部から沸々と憤りが込み上げてきた。
人を創り出したとするのが神ならば、運命でさえも全部悟ってる、と。
結末を判っていながら、無惨に人は死んでいく。
全ては世界の秩序を保つため。弱い者は死に、強い者だけが生き残る。
命が尽きたら補給は出来ひん。
心底腹が立った。
それからというもの、俺は大事な人である人物を大切にしようと励んだ。
母を怒らせないように。父の労働を労うように。友人には常に笑顔を振り撒くように。
だって、俺の生きる理由はその中にあるんやから。
だから、溜め息を聞くと無性に涙がが出る。
また俺が迷惑かけた。また怒ってるよ、どうしようどうしようって。
誰かの為に生きる精神は癖になっていった。
俺が笑えば皆も笑うし。
手を差しのべれば家族と分かち合えるし。
そこで勝ち取った信頼は盾となるし。
それから、意思とは逆に繕うのが得意になった。
これで分かったんちゃう?
結局は、全部偽善だってことが。
全てが自分じゃなくて他人の為。しかも意図的じゃなく故意的に。
だからもう「大好き」も「愛してる」も言えへん。
俺は偽善者だから。
到底、これを愛とは呼べない。
だから全てを終わらせるにはもう死ぬしかないと思って、
この手紙を書いた次の日に吊った。皆が幸せになるにはこうしかないんや。
これから先、天国に行けるかどうかも分からない。折角与えられた命を無駄遣いしたし。
あんたには感謝する。
色々と相談相手にもなってもらったし、こうやって受け止めてくれるのもあんただけやから。
こんな奴だけど、最期まで仲良くしてくれてありがとうな。
…ってところで一つお願いなんやけど、もし俺の家族に会う機会があったら
"愛してました、これからも"って伝えといてや。
勿論、Aちゃんも愛してるで。
ほな、またな。
オスマン
いつもの冷静な彼からは想像できない、拙い闇が綴られていた。
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Aの化身(プロフ) - 一つ眼さん» コメントありがとうございます。この作品はただ自分の体験談をメンバーに演じてもらっただけの物です。尊さに気付く事が出来た一つ眼さん自身が素晴らしいことです。同時に、そう気付けた貴方のお手伝いが出来て大変恐縮です。 (2020年3月8日 17時) (
レス) id: 5ef8288512 (このIDを非表示/違反報告)
一つ眼 - 同じ文を2つ書いてしまいました。お手数ですが1つ消しといてください (2020年3月8日 1時) (レス) id: 250339bac9 (このIDを非表示/違反報告)
一つ眼 - 下の続きです。 涙が止まりませんでした。命の尊さはこう言う事を言うのだなと思いました。Aの化身さん。私に命の尊さを教えてくれてありがとうございました。 (2020年3月8日 1時) (レス) id: 250339bac9 (このIDを非表示/違反報告)
一つ眼 - 下の続きです。 涙が止まりませんでした。命の尊さはこう言う事を言うのだなと思いました。Aの化身さん。私に命の尊さを教えてくれてありがとうございました。 (2020年3月8日 1時) (レス) id: 250339bac9 (このIDを非表示/違反報告)
一つ眼 - はじめまして。いきなりですが私は命の尊さと言うものを知りませでした。でも、この小説を読んでやっと命の尊さを知ることができました。推しが死ぬのがとっても悲しくて。推しじゃなくても、苦しみや悲しみを我慢してきたけれど限界だったり。 (2020年3月8日 1時) (レス) id: 250339bac9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aの化身 | 作成日時：2019年1月13日 15時
