【短編集】遺書.【d!】

感触【ht】 ページ16

おーい、Aさーん。

おっ気付いた。
ねぇ驚いた？急に風が吹いたと思ったら、空から一通の手紙が降りてくるんだもん。

びっくりさせてごめんね。
この手紙の主は、数ヵ月前に死んだひとらんらんという者です。

なーんてね、久しぶり。

この手紙は特殊でさ、リアルタイムで俺が思い浮かべた文を書いてくれるんだ。
そう、つまり俺が今地上へ遊びに来てるってことだよ。

うん、今Aさんが座ってるソファーに俺も座ってるよ？


多分俺の姿は見えないと思う。
Aさん霊感弱い人みたいなんだよね、残念。
久しぶりに会えるから楽しみにしてたんだけどさ。

でもほら、上の人からも言われてるから。
姿が見えなくてもいいならいっておいでってさ。
思わずガッツポーズしちゃったもんね。

最近どう？ちゃんとご飯食べてる？
こっちは相変わらずAさんを見守ってたから。異常なし！

もーそんな顔しないでよ！
俺も寂しくなるじゃん。やだなぁ。

でも元気そうで何よりだよ。
俺が死んでからご飯1回も食べてないとか言われたらびっくりだよ。
今のフリじゃないからね。絶対しちゃダメだからね。


向こうにはAさんいないし、正直めちゃくちゃ寂しいよ。
おまけにね、今の俺にはAさんに触れる事が出来ない。
触れた所から靄みたいにぼやけちゃうんだ。


すかり。
何度やったって、すかり。


ある意味殴ってもすり抜ける。
ただ俺が疲れるだけで、すかすか消える。


すかり。
すかり。


どうしよう。
Aさん不足だってのに、触れないや。
折角楽しみにしてきたのに。

あーあ。元気付けにきたのに俺が泣いちゃいそう。
途中まで我慢してたのに。これじゃどうしようもないね。
俺が泣いて終わりの作戦になっちゃいそう。いかんいかん。


―――今ね、Aさんのほっぺに手添えてるの。分かるかな？
それをさ、Aさんの手で優しく包んでみて。何か変わるかもしれない。




うん、心なしかあったかくなった気がする。
嬉しいな。ちょっと元気でた。


会えて嬉しかったよ。
今度もう一回遊びに来るから、ちゃんと霊感つけておいてね？(笑)


じゃあね、また来るよ。
大好き。


ひとらんらん


うっすらと見える何か。
それが私の肌と触れ合う度に、温もりを感じる。

子供【sho】くうさんﾘｸ→←骸骨【gr】zoppi/karonさんﾘｸ

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