朗報は朝日と共に ページ2
「また諜報部に駆り出されるんやって？ショッピ君」
「そうらしいなあ、俺もよく知らんけど」
呑気にあくびをして目に涙を浮かべるコネシマに、トントンは「なんで知らんねん」と笑いながら切り返す。
直属の先輩だというのに、後輩の動向にまるで関心を持たない男に彼は一周回って尊敬の念を抱いた。
「いやあ……ざっくりとは聞いたんやけど、一応諜報部の仕事やから詳しいことは言えないらしいで」
「あー諜報部っぽいわーショッピ君もだいぶ馴染んできてるなあ」
「ｽｩ-……せやねん。しかもあいつ、最近ゾムに似てきてか俺に対する殺意高いねん」
「それは元々やろ！」
和やかに話している二人とは対照的に、すれ違う兵士はみな一様に息を呑んで振り返る。
彼らが揃って幹部の地位に着く人物であるということも身構える要因足り得るのだが、幹部切っての高身長が二人並んで歩いている絵は、それだけで目を引く状況であった。
そんな背後からの好奇の視線など露知らず、朝礼に向かう兵士達とすれ違い様に挨拶を交わしながら、二人は食堂へと入った。
テーブルが何列も伸びる中、技術開発部の制服がちらほらと席を埋めている。
そこに紛れるように、端にぽつんと座っていた人影が二人に気付き立ち上がった。
「コネシマやん！あとトントンも」
「ついでみたいに言うなあ」
「ごめんごめん、どうしてもコネさんの方が目立つからつい」
「よろしい！」
「なにがや」
軽口を叩きつつ、二人は向かいの席に腰を下ろして息をつく。
「二人一緒ってことは、訓練所絡みか」
「せや、やっと実戦形式に入ってん」
「今チーム組ませて模擬戦やっとるんやけど、あれや、指導官の性格だいぶ反映されるわ」
記憶に釣られて眉を下げるトントンに、片や「へえ〜そうなんや」と相槌を打ち、片や「ああ〜なるほどな」と激しく頷いて同意を示した。
「確かにトントンの方めっちゃテキパキしとったもんなあ」
「あ〜すごい想像出来るわ、基本に倣ったお堅い感じやろ？」
「それや！ほんま、堅いわトントン」
「あんな？うちらがお堅いんちゃう、シッマの隊が破天荒すぎるんや」
「やっぱそうなんや、そっちは想像するまでもないな」
「なにぃ？貴様ァ、我が部隊を愚弄するのか！」
「ええ!?」
「せやでロボロ、あくまで動きを読ませないためのシッマの作戦なんや。わかってあげえや」
「せやぞ！あくまで、指揮官として、隊を勝利に導くための作戦なんや。わかるかロボロぉ！」
「何も言うてないですう！」
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作者名：桜音風湊 | 作成日時：2018年11月30日 5時
