心が２３個 ページ24
気づいた時にはもう体が動いていた。
部屋の扉を開けて、階段を駆け下りて、家を飛び出した。
kn「俺は…あいつに伝えないかんことがまだあるんや！！」
苦しかった。Aの考えていることが分かったから。
嬉しかった。Aと気持ちが一緒だったから。
そして何より、悔しかった。
Aがどんな思いで俺に花を渡し続けているのかを今まで気づけなかったから。
kn「俺やって…俺やって！！！」
人の声なんか聞こえなかった。車のクラクションだって、スマホに来る通知音だって。
必死に走った。
kn「…あのっ、面会に来たんですが…春野Aって言う…」
「春野…あっ！君、水嶋君？」
受付の人は驚いたような顔をしてこちらを見た。
kn「そうですけど…」
「ちょっと来て。急いで！」
腕を引っ張られて階段を駆け上る。
来て？急いで？
嫌な予感がした。冷汗がどっとでた。階段を駆け上る二つの足音しか聞こえない。
「あの子ね、君を待ってたよ。ずっと。辛かったのに笑顔でね…」
震えた声でそういわれた。
あいつの、無理してる笑顔なんて何回見たかな。寂しそうな声、何回聞いたかな。
kn「あの、俺…Aに合う資格、ありますか？」
「何言ってるの！Aちゃんは君のことを待ってたんだから。君がどんなにひどいことをしても
彼女、あなたのことを待ってたと思うよ。ううん。待ってる。」
俺の腕を握る力がギュッと強くなった気がした。
kn「そっかぁ」
ここんとこ、涙腺が弱くて困るわ。Aの前で泣きたくなんかないのになぁ。
「ここからは、君一人で行きな。私は行くべきじゃないからさ。」
頑張ってね、そんな声が聞こえた。
kn「…ふぅ」
一呼吸おいて、ドアをノックする。
「どなたですか？」
この声は、Aの母さんの？
kn「アッ…水嶋です。こがね…んと、シッマです。」
「あぁ、シッマ君。どうぞ。」
静かにドアを開けた。
春先、というにはまだ早いか。少し生暖かい風が俺の頬を撫でる。
kn「Aは…？」
「寝てるの。シッマ君のこと待ってるって言ってたんだけどね。寝ちゃったのよ」
Aの顔を覗けばすやすやと眠っていた。
隣でいつも見ていたはずなのに、誰よりも見てきたはずなのに。
一度も見たことないような寝顔だった。安心して眠っているというよりは…
「シッマ君。さいごまで…よろしくね」
最後、なのか最期、なのか。分かりたくなかった。
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ぜろ(プロフ) - クロノスさん» うわん…ありがとうございます。クズシマちょっと笑っちゃいましたｗ (2020年1月24日 14時) (
レス) id: 245f42d98f (このIDを非表示/違反報告)
クロノス - よかったですわ マジで （タイトルのとこのコネシマ の英語『クズシマ』と読んだなんて言えない、、） (2020年1月12日 4時) (レス) id: 25a024680a (このIDを非表示/違反報告)
ぜろ(プロフ) - 無色さん» コメントありがとうございますぅうう( ;∀;)二人ともＥＮＤ１では幸せな…はず！です(´・ω・) (2019年12月15日 17時) (レス) id: 245f42d98f (このIDを非表示/違反報告)
無色 - すごいいい話でした！軽く泣きかけました(￣▽￣;)二人とも幸せになっているといいな（´・ω・｀） (2019年12月13日 15時) (レス) id: 3580e498d4 (このIDを非表示/違反報告)
ぜろ(プロフ) - 美希さん» このお話のシッマさん、過去には心あったっていう設定なんです！ここから少しずつタイトルの意味、分かっていくので！！！！楽しみにしていてください！美希さん、コメントありがとうございます！ (2019年2月7日 14時) (レス) id: aa0aa3566b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぜろ | 作成日時：2018年11月4日 22時
