心が21個 ページ22
ひとしきり泣き終わった後、もう空は焼け始めていた。
真っ赤な夕日、黒く伸びる影。
帰らなきゃ、なんて思って家に帰った。
kn「ただいま」
「おかえり。今日、どっか行ってたの?」
kn「…部活」
「そう。ごはん、何時くらいに食べたい?」
kn「今日は…いらんかな。あんまり腹減ってへんし」
悲しそうな顔をして母さんはエプロンを外した。
「大事な花の作業が終わったら降りておいで。軽食作ってあげるから」
そういえば、花を持ってたんだった。Aに合ったことくらい一目瞭然だ。
kn「ありがと。」
kn「今日の花は…」
紫色のヒヤシンス、真っ赤なバラが5本。そして、ピンクのバラが1本。
おばあちゃんに教えてもらった通りの手順で花を壁に貼った。
kn「ん…?」
ピンクのバラの茎に紙が貼ってあった。
---
あと一つの花だけ。ありがとう。
シッマは分かってくれたかな。
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綺麗な字でそう書いてあった。
その手紙をピンクのバラの横に画びょうで止めた。
kn「…あと一つ、か」
命の期限までに渡せるか分かんないのって言ってたよな。
あと一つ、それをAから貰えたらどんなにいいことか、どんなに嬉しいことか。
あの寂しそうな表情を見たくない。
あいつを、最期まで幸せにするって誓ったから。どんなことがあっても良いやつでいなくちゃな
涙なんて見せたら、また泣くだろうし。
「おかゆできたよー。食べれるんだったら降りてきて」
扉を開けて、リビングに戻った。
「ほら、卵がゆ。エビは入れてないから、さっさと食べちゃいな」
kn「ありがと」
---
kn「ごちそうさん。美味しかったよ」
「少しは、元気になれた?」
kn「まぁまぁ。Aのこと、心配でさ」
「そうね…今度の日曜日にでも病院一緒に行こうか」
kn「そうする。俺、風呂入ってくるわ」
お椀を流しへ置いて、お風呂場に入った。
シャワーを浴びていた時に、Aの言っていたことを思い出した。
『お風呂で涙を流したらね、水と一緒になってくれるからいいよ。跡もつかないし』
まだ、今より元気なときに言ってくれたっけ。
退部する前の時だった気がする。そのとき、もう自分が病気だって知ってたんかな
なんでそんなことを言うんやろって、不思議に思ってたけど。
本当に涙が出てきそうで、ぐっとこらえた。
kn「もう、涙は流さへんって決めたんや」
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ぜろ(プロフ) - クロノスさん» うわん…ありがとうございます。クズシマちょっと笑っちゃいましたw (2020年1月24日 14時) (レス) id: 245f42d98f (このIDを非表示/違反報告)
クロノス - よかったですわ マジで (タイトルのとこのコネシマ の英語『クズシマ』と読んだなんて言えない、、) (2020年1月12日 4時) (レス) id: 25a024680a (このIDを非表示/違反報告)
ぜろ(プロフ) - 無色さん» コメントありがとうございますぅうう( ;∀;)二人ともEND1では幸せな…はず!です(´・ω・) (2019年12月15日 17時) (レス) id: 245f42d98f (このIDを非表示/違反報告)
無色 - すごいいい話でした!軽く泣きかけました( ̄▽ ̄;)二人とも幸せになっているといいな(´・ω・`) (2019年12月13日 15時) (レス) id: 3580e498d4 (このIDを非表示/違反報告)
ぜろ(プロフ) - 美希さん» このお話のシッマさん、過去には心あったっていう設定なんです!ここから少しずつタイトルの意味、分かっていくので!!!!楽しみにしていてください!美希さん、コメントありがとうございます! (2019年2月7日 14時) (レス) id: aa0aa3566b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぜろ | 作成日時:2018年11月4日 22時