8話 ページ9
夢を見た。
前世の家族と一緒にいて、飯を食ってる夢。
狭い食卓を両親と姉と囲んでいて、肉じゃがが器に盛られている。
俺の、大好物だったっけ。
ー
「…肉じゃが食いてえ〜」
目覚めてからの第一声がこれだった。
久しぶり…でもないけど、まだこっちに来てから全然経ってないけど。前の家族が恋しくなってきた。
また母さんの肉じゃがが食べたい。また父さんとゲームしたい。また姉ちゃんと…なんだろ、喧嘩くらいしかした覚えねえや。いっつも姉ちゃん、自室で…なんかこう、やたらと距離が近いイケメンの絵を描いてたからな、あんまり接点無いんだよな。
一度だけ姉ちゃん自作の漫画を、許可を取って読ませてもらったことがある。絵は普通に上手かったしコマ割りも出来てたけど…かなりショッキングな内容すぎてよく覚えてない。読み終わった感想で、「年齢制限しとけ」と言ったのは覚えてる。
さて、そろそろ起きるか。
立ち上がって、扉のノブを回す。扉が開いて…
微笑をたたえたオレンジ髪の人がいた。
「うへえっ！？」
「おはようございますアイク様、朝食の準備が整いましたのでお呼びしようとこちらへ来ておりました。驚かせてしまったようで、申し訳ございません」
「あっ、ああいや…大丈夫、勝手に驚いただけだから」
謝罪するイスピアにそう返したところで、ふと思い至った。
あれ、こっちに世界に肉じゃがってあるかな。ワンチャンある？
「なあイスピア、肉じゃがって作れたりする？」
「…にく、じゃが…ですか？」
あ、無いのね。肉もじゃがいももあるから作れるかと思った。困惑させて申し訳ない。
なんでも無いと言うように手を振って誤魔化す。
「ごめん、そんなの無いよな。それより、今日の朝食って…」
「__ません」
「え？」
何かぼそっとイスピアが呟いたので、顔を覗き込む。
背が高い彼は、体をわなわなと震わせて…
「いけませんっ！私が知らない料理があるだなんて信じがたい…！！ましてやアイク様のご要望のモノをご用意することが出来ないなど人生の汚点でございます！さあアイク様、そのにくじゃがなるものの全てを私へ叩き込んでください！必ずや作り上げて見せますっ！！」
「いきなり熱くなりすぎ！てか、ここの飯ってイスピアが作ってたのかよ！」
「ええもちろん！」
いや、テンション変わりすぎだろ！まさかの料理研究家かお前！
メラメラと瞳に炎を揺らめかせる彼を見て、俺はため息をついた。
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わたアメ - 続きが気になる♪この小説、好きだな… 可愛い妹の為なら、私だって貴族にだって強く言えそうで怖いな… (2022年5月19日 18時) (
レス) @page5 id: 45a95b1035 (このIDを非表示/違反報告)
たまご - ぴっぴさん» コメントありがとうございます！嬉しいです……！ (2022年4月10日 15時) (レス) id: 28ca9da869 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ - 面白くなってきそうです…!! (2022年4月10日 9時) (レス) @page2 id: 6fb09f5107 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/suikahqd/
作成日時：2022年4月9日 22時
