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「A、本当に緑好きだね」
私の筆箱を覗いた孤爪が、微妙なニュアンスでそう呟く。
まぁお前が嫌いだろうと私は好きなんだよ緑色。落ち着いてるし綺麗だし、使いやすいじゃん。
確かに筆箱の中は緑系の文房具が多い。けど、そんなに嫌そうに呟くなよぅ……
「……そういえば緑は嫌いらしいけど、孤爪は何色が好きなの?」
「え?俺……うーん」
孤爪の持ち物には色の偏りがない。まぁ言われてみれば確かに緑系の少ないけど。
好きな人と好みは合わなくても、好きな人の好きなものは知っていたい!という乙女心を察してくれ。
「……あー、割と黒好きかも」
「へぇ、なんか以外」
「え、なんで?」
「ほら、バレー部のジャージ赤だから、赤好きなのかなぁって」
「まぁ、それは別問だっ……」
途中で孤爪は言葉を切った。そればかりではなく、目を見開いて私の斜め後方を見る。心なし震えているような……
私もつられるように、その方向を見ると
「……け、研磨……!」
なんかデカくて髪型やばい黒い人が感涙って感じで佇んでいた。
それを見てどんどん孤爪の顔は青ざめていく。
「研磨、俺のことを……!!俺も好きだぜちくしょう!!」
「違う、クロじゃなくて黒」
「照れんなって!」
「違う」
……あ、そっち方面ではないです。
孤爪は逃げるように何処かに行ってしまう。
で、その場に残された私は
「君誰?」
「孤爪の同級生のAって言います……先輩ですよね?えっと、孤爪の部活の人?」
「おー」
なぜか黒尾先輩(聞いた)と仲良くなった。
話を聞くところ、孤爪と幼馴染で “ クロ ” と呼ばれているらしい。なにそれ可愛い。
で、話の流れで
「……好みが合わない、と?」
「そうなんですよね」
「へぇー、それで色の話か……なんだ俺の事かと思ったのに」
「あははードンマイです先輩」
「え、なにこいつ生意気」
こうなり
「……で、つかぬ事をお聞きしますが、孤爪の好きなものって何ですか?」
「研磨ぁ?んー……アップルパイ?」
「……クッソ!ここまで合わないとか!!なんなの、本当になんなの!!」
「え、Aちゃんアップルパイ苦手ー?」
「林檎無理です」
「あらー……」
こうなった(白目)
何故にこうまでして合わないのだ。
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花見っ子(プロフ) - こちらこそ閲覧感謝です (2018年9月24日 20時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
つゆもち。(2) - 1番最後は死亡しました(白目)文才の塊ですね泣メッチャ泣いてしまいました+ニヤニヤが止まらなかったですッ!!w萌える...流石俺の嫁(は)胸きゅんや感動を有難う御座います! (2018年9月23日 11時) (レス) id: 1767128fae (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 向日葵さん» お返事遅くなってすいません……でもお陰様で完結できました。ありがとうございます! (2018年9月7日 21時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
向日葵 - 言った!!!!!ついに!!!言った!!!!! (2018年9月2日 16時) (レス) id: 1d6bbddaab (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 面白いって言ってもらえて嬉しいです……涙の洪水じゃ。← 頑張ります、ありがとうございました! (2018年8月21日 23時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花見っ子 | 作成日時:2018年8月6日 14時