《27》 ページ34
「国見君、あのね……私、君が好きなの」
よし、これはまさかの展開だ。まさかなって思ってた俺よ、ドンマイそのまさかだったぞ。
運悪く例の先輩に会い、極め付けに中庭に連れてこられた挙句、冒頭に至る。まるで流れる様な作業、なんて早業。逃げ出す暇がなかった。
てかなんで今?なんでここ?もうじきAが来るかもしれないのに。
てかなんで俺?これ絶っっっ対 “ 及川さん見返す作戦 ” だよね?なんで俺が抜擢されちゃってんの?第一そんなので及川さんが動揺するとでも?馬鹿なのこの人。てかせめて騙そうとしてるならもうちょっと上手くして。
第一貴方が俺のこと好きになる要素ありました?ありませんよね?てか一応初対面ですよね。嘘にしてももう少しマシなものにしてほしいものだ。
「……先輩」
「だからね、付き合って?」
人の話聞こうか??遮るのやめろ。
付き合う?冗談じゃない。なんでお前なんかに駒扱いされなければいけないんだ。第一俺は好きな奴いるんだって、てかまさに今からそれを、
(……あ"ーーーーーー、来てるし)
俺はタイミングの神に見限られたのだろうか。
砂利を踏む音が聞こえたので確認したら案の定Aだった。来てくれたのは嬉しいがタイミングが最悪だ。しかも目が合ってしまって、全力で晒した。いやもう誤解しか生まないだろこの状況。
(なんでこう、うまくいかないんだ)
心の中で悪態をついて、目の前の先輩を見やる。俺の不機嫌さなんてもろともしない先輩はニッコリと俺の返事を待っている。いやふざけるな。
とりあえず、こちらをなんとかしなければ。
「……すいません、俺、好きな奴いるんです」
「……は、」
「だから、付き合えません」
なんであいつにちゃんと伝えたかった事を、この人に先に伝えてるんだろう。でも少しでもこれを聞いて、Aが俺を意識してくれたらいいのに。
先輩は拒絶されると思ってもみなかったんだろう、必死に食い下がってきた。俺が「先輩綺麗ですね!嬉しいです、よろしくお願いします」と言うとでも?とんだおめでたい脳内だな。
「私だっていいじゃない!」
「……失礼ですけど、先輩、本当は────」
「俺のこと、好きじゃないでしょう?」
そう言うと先輩は顔を真っ赤にさせてどこかへ行ってしまった。
……そんなの、図星だと言ってるようなもんだろ。本当に演技下手か。せめて否定するくらいの根性見せてみろよ、バーカ。
594人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花見っ子(プロフ) - アップルキャンディさん» 最初から!?すごい嬉しいです!なら余計に更新ものすごく間が空いてしまってすいませんでした……このシリーズだけは絶対完結させます。お付き合い頂けたら幸いです。 (2020年11月30日 21時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
アップルキャンディ(プロフ) - 初めまして!シリーズ最初から読んでます!久しぶりに占ツク開いたら更新通知が来てて、コメントしたくなるぐらい幸せでした…。色々と拗らせてる国見ちゃん、読んでて苦しくなるほど好きです。無理のない範囲で更新頑張って下さい。 (2020年11月29日 18時) (レス) id: addc80a2b2 (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - ゆったーさん» そう言ってもらえるてとても嬉しいです!安心して書ける……更新頑張ります、コメント感謝です。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 端広コウさん» 急な逃走及び告知のない復帰にも関わらず、このようなコメントを頂けてとても嬉しいです。正直ちょっと泣きそう……更新頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
ゆったー - 綺麗で読みやすい文章!内容がしっかりしてて違和感がなかったです!ちょっとだけ見るつもりだったけど、凄いドンピシャで全部読んじゃいました(笑)キャラの性格と口調も掴んでて変に思わなかったです!更新楽しみに待ってます!長文失礼致しました (2020年11月29日 0時) (レス) id: d351a6af56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花見っ子 | 作成日時:2019年8月11日 20時