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なんでこうなるんだろう
走りながら、そう思う。
別に今更、国見とどうこうなりたいわけじゃない。もう迷惑かけたくないと思って、避けてきたはずなのに。
なんでこう、うまくいかないんだろう?
「ハァ、ハァ……ゲホッ」
立ち止まった瞬間、苦しさが蒸し返してきて、女子らしからぬ声が出る。
……まあ、帰宅部だし。体力には全くもって自信がない。そんな私があの場から離れるために全力疾走したのだ、こうなることは容易に想像できた。
それにしても、月島君と山口君、今どうしてるだろうか。あの空気の中、あの空気を作った私が置き去りにしてきてしまった。
「……ほんと最低だ……」
あの3人の共通点はバレーのみ。
しかも、それも敵校。
プラスアルファで、空気最悪。
……どうしよう、引き返す?いやでも、今はもう国見に会えないし、会ってももう何もできない自信がある。
でも、でも───────
「Aさんっ!」
「……あ、山口、くん」
また頭が働かなくなってきて、本能的に泣きそうになった時、後ろから声がして。
そこにいたのは山口君だった。
え、もう追いつかれた?結構走ったんだけど……さすが現役運動部。体力から違うもんな。
そして泣きそうだったはずなのに、彼の手を見て涙は引っ込む。それどころか
「ちょ、山口君それ……!」
「え?だって、これないと帰れないでしょ」
「そうだけど違くて!それ持って走ったの!?」
顔から血の気が引いた気分。
だって彼は私の鞄を持っていたのだ。彼自身のリュックは背負われているが、私の鞄、今日は強化が多くて重いんだけど!?それを軽々?
そういえば勢いで荷物ベンチに置いてきたわ!
「ちょ、え、ごめ……!」
「いや、いいよ、落ち着いて……帰ろう?」
「え、月島君は……」
「ツッキーは、後から来るって。『先に歩いてて』だってさ。今日は送るよ」
「いやいやいや!こんなに迷惑かけたわけだし、1人でも帰れるよ」
「う〜ん……ツッキーにも示しかつかないし、迷惑なんかじゃないよ。送らせて?」
「……ありがとう。それで、月島君は」
「……たぶん、国見と話してる」
怖くなって、それ以上は聞けなくて。
駅までの帰り道を、2人でゆっくり歩いた。
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雪猫(プロフ) - 花見っ子さん» いえいえ!大丈夫ですよ!続きも読ませてもらいました!国見ちゃん視点を読んでもっと面白いなって思いました!国見ちゃんがどう思ってたのかとか、あの誤解は結局どうなんだろうとか考えるのが楽しいです!続きも楽しみです!頑張ってください! (2019年8月19日 0時) (レス) id: 044c7ba7ac (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - しば子さん» 本当にコメント返すの遅くなってすいません……その上更新も酷く不定期で。その中で読んでいただけて嬉しいです。今後も少しずつ頑張りますので、よければまた見てくれたら嬉しいです。 (2019年8月11日 20時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 雪猫さん» ずっとコメントお返しできてなくてすいませんでした。今更なんですが本当にコメント嬉しかったです。自分で書いててあれなんですが、わかりにくいところも多いと思います。そんな中読んでくださってありがとうございました。続編も書いたのでよければ…… (2019年8月11日 20時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
しば子 - 国見推しなんですけど、話の続きがすごい気になるし続きを読むたびドキドキします笑このお話大好きです!更新楽しみにしています、無理しない程度に頑張ってください!! (2019年7月28日 10時) (レス) id: 923e20aa2a (このIDを非表示/違反報告)
雪猫(プロフ) - こうゆう感じのお話好きです!更新頑張ってください!!最近国見ちゃんが自分の中では来てて、続きが楽しみです! (2019年6月29日 1時) (レス) id: 7dccd2123b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花見っ子 | 作成日時:2019年3月30日 21時