発散しよ ページ7
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視線を上げると、安元さんの優しい眼差しとぶつかった。
『ええ?どうしたんですか?』
安)「いやぁ、なんか憂いに満ちた穴澤だなと思って」
別に何もなきゃ全然いいんだけど、と言って再びカップに口をつける安元さん。
しばらくの沈黙。店内に流れる穏やかな曲と、あちらこちらでささやかれ、紡がれている会話。
ただ目の前に座っているだけなのに包み込んでくれるような優しい雰囲気の安元さんは確実にすごい人だ。
『…ちょっと、私が平和に暮らしていたとしても、皆が皆、一緒なわけないんだって、改めて思って』
全てに促されるように、私は口を開いていた。
安)「ほう、なんでそんなこと考えちゃったの」
『…いやな光景、見てしまいまして』
偽善者だと言われるかもしれないけど、私には善だとか悪だとか、そんなことはわからない
ただ今は、あの光景をいやだと、嫌悪を感じただけで
『うーん、むずかしいな』
安)「お前さんはまーた考えすぎちゃってんのね」
静かに私の話を聞いていた安元さんが今度は口を開いた。
『考えた、というか、ううん、思ってしまった、というか』
まぁきっと寝れば何とも思わなくなるんだけどね!
安)「好きなようにやっちゃえばいいじゃない」
『ん?』
大したことのないように安元さんが言う
『うーん、好きなようにしていいんでしょうか』
世の中の常識だとか、人からの目線だとか。
安)「覚悟がないならやめればいい、じゃなきゃお前が世の中の理不尽を不満に思う資格なんて、ないと俺が言っても誰も俺を責めないだろうよ」
『う、』
たしかに覚悟とか責任感なんて感じたことなかった。だって他人のことだもの、私が口出すことじゃない
安)「でも、それでも気になっちゃって、どうにかしないとって思っちゃう奴なんだろうな、Aは」
『……。』
安)「だから、困ったときはこうやって俺を頼ったらいい、かわいいAのためだ、おじさん喜んで一肌でも二肌でも脱いじゃうよ」
『安元さん…』
本当にこの人は、いつだって優しくて、厳しくて、守ってくれて、支えてくれて。
『ありがとうございます、…うじうじしてないで、穴澤行動してみます!』
安)「おう、無理だけはするなよ」
じゃあ俺はそろそろ仕事だから、と言って去っていく安元さん。
私も彼みたく頼れる人間になりいたい、そう思いながら私は冷めた珈琲を喉の奥へ流し込んだ。
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みーこ - 杉山さんかっっっわ……!最高です (2022年2月13日 21時) (レス) @page39 id: b9bb400730 (このIDを非表示/違反報告)
キーさん(プロフ) - すごく面白くて一気読みしてしまいました…!更新再開を待ってます。がんばってください!! (2021年9月12日 21時) (レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - まってました!!!ずっと見てました!これからも頑張ってください! (2020年7月21日 3時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - もんぷちさん» 穴澤ちゃんー!酔っても通常運転(?)だね!記憶ぶっ飛ばすのだけはダメよ笑アルバイトくん…羨ましい… (2020年5月25日 10時) (レス) id: 422e0d5f6a (このIDを非表示/違反報告)
Gin/4869(プロフ) - 悪魔を召喚したら、、お二人の回答が気になりますね笑 ジンハイを頼んで酔っぱらうあなざーわ。かわいい!かわいいぞ!いいぞジンハイ、もっとやれ!!(煽) あなざーわに「ファンです!」と言えるアルさん、君が羨ましいよっ!!(泣) 二日酔いには気をつけて穴澤!! (2020年5月25日 3時) (レス) id: 171be6e7cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もんぷち | 作者ホームページ:@urtkanother
作成日時:2020年4月7日 19時