Daily Motion 8 【男性声優】

塵となりぬる ページ39

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『うー…くらくらする…』


しゃがみ込みたいのはやまやまだが人目もあるのでそうもいかない。壁に手をつきふーっと息を吐きだす。

ジンジャーハイボールはいかん。酒に弱い私が飲んではいけないものだ。なんで飲んでて気づかなかったんだろう…。
まぁ杉山さんとお話できたから他のことはどうでもよくなってたんだろうな…。かっこつけてジンハイで！とか言っちゃったんだろうなぁ。恥ずかしい


こんなに気持ち悪くなったのは空きっ腹に酒を流し込んでしまった大学1年生の頃以来だ。あれ、2年だっけ。
視界がぐわんぐわんと揺れ動くこの感じ…懐かしいなぁおい


そういえば前の時もこうやって外出て息整えてたっけなぁ。その後、当時ちょっと好きだったサークルの先輩が声かけて……




「あの…」

『え？』


ふと懐かしんだ学生の頃の記憶と妙にリンクしたタイミングで声を掛けられ、私はまさか、と思って顔を上げた。



「これ、お水…よかったらどうぞ」

『え…あ、あぁ、すみません…ありがとうございます』


そこにいたのはお店の名前が書かれた前掛けをした若い男の人。そういえばさっき店内で見かけたなぁ、アルバイトの人かな？


期待外れのような、でもお店の方がわざわざ酔ったお客の介抱をしてくれる優しさに感動しつつ私は水を口に運ぶ。


「……」


しかし用は済んだはずなのにまだそこを動かずぽりぽりと頬を掻くアルバイトさん。



『あの…、』

「い、いやすみません！不躾ですよね…」

『あ、いえ…何かあるんですか？この辺』


外に出て見たいものでもあったのかと思いきょろきょろと辺りを見回してみる。


「いえ、あの…声優の…穴澤さん…穴澤Aさん…ですよね？」


はっきりと同姓同名を呼ぶのでびっくりして私はまじまじとアルバイトさん…長いな、アルさんを見つめる


『は、はい穴澤ですけど…すみませんどこかでお会いしました…？』

「い、いえ！！あの…ふ、ふ、ふぁ、ファンなんです！！！！」

『ふぁんー！？』


よりにもよってこんな酔っ払い姿を……ファン様に………

終わり ログインすれば
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