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.貮拾伍 ページ25




露草色の目は昔から、雲霧の様には揺らが無かった。
変化など、無かった。

唯一、私の頬を染めた人よ。
私は、貴方より、貴方の事を知ってる。

少しだけ、背が高くて、その背が誇らしげに思える。
尊いだろう。その背に、指一本触れることさえも。

「まず、貴方の事を教えて下さい。
勿論、包み隠さず。」

手で包んでいる紅茶に映る自分を見詰めながら言った。

あの後、両方とも話がしたいとなったので、エリス嬢と一緒にカフェに来た。

彼も私もエリス嬢の手を繋いで歩いたら
あら、いい家族だねぇ、今幸せかい?
老女に問われてしまった。

三人とも嬉しくて、苦笑した。
髪も、目も、性格も何一つ違うのに、
幸せかい?と言われて嬉しかったのだ。
家族のように。
復一つ、想い出となった。


「………中原中也、22歳。
今は、ポートマフィアの幹部をしている。
…………簡潔過ぎるか?」

「いいえ?それで構いません。」

貴方の事は資料を作る時にもう調べた。
少し、戸惑ったのかもしれない。
ポートマフィアと言えば裏社会の話になる。
彼の服が血の気が多いのもそれの所為だ。

「…………」

彼は少し口が緩んでいた

「どうされました?」

「…否、こうやって現実で見るのは初めてだから、ちょっと…」

彼は顔を背け髪の毛を耳に掛けた。


「………!?耳が真っ赤ですよ?!
だ、だ、大丈夫ですか!?」

真っ赤、より上だ。真っ赤っ赤。
もしかして熱?全体、熱だ。

「ちょっ、ちゅーや!!大事な話をするんでしょ!?
何、見とむぐぅッ?!」

彼は隣の席に座るエリス嬢の口を必死に塞いだ。
頬まで、赤赤とした肌は侵食されていた。

「それ以上言ったら、貴女と言えど
許しません。」


どうしたのかしら。
と、思いつつ紅茶に目を落とした。


揺らぐ小さな波に自分が映っていた。

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加奈 - 気になるんですが。 (2020年6月18日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
黒木 - tomo☆さん» たまたま思い付いてバッと書いただけなので名前はなかったのですが、つけるとしたら『翹望』でしょうか。意味はひたすら待ち望むことです。ちなみに『翹望』の詩の下の部分は『残光』です。(詩ではないです。) (2016年9月23日 23時) (レス) id: 30aec25ac4 (このIDを非表示/違反報告)
tomo☆ - すいません、拾漆にでてくる蝶の詩の題名はなんですか。 (2016年9月20日 15時) (レス) id: da2441fb80 (このIDを非表示/違反報告)
黒木 - 華京院アリスさん» ありがとうございます。私も初めて小説を書いるので、アドバイスが出来る立場ではないですが、感動などを相手に伝えたいならそのような本や歌、映画などを参考にして書いています。かといって真似をしてはいけないので、毎日詩を書いています。お役にたてれば幸いです。 (2016年9月13日 16時) (レス) id: 30aec25ac4 (このIDを非表示/違反報告)
華京院アリス(プロフ) - はじめまして!読ませていただきました。感動しました(T . T)私も小説書き始めたんですが、こんな感動的な文章、書けません!もし迷惑じゃなかったらアドバイスとかもらえたりしますか?何度見てもいい文章ですね!更新頑張ってください (2016年9月12日 21時) (レス) id: 270ea87993 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒木 | 作成日時:2016年8月24日 19時

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