今日はもう疲れたよね ページ35
片付けをしながら、アズールのことについてマナとヨトと話をしていた。今回は彼がオーバーブロッドする予定だからだ。今回は海の中でオーバーブロッドをするため、想像力をフルで働かせる必要がある。
「私たち呼ぶ時とか魔法防ぐ時とか、今一瞬だけの魔法が必要だったり、1度想像して現物として残るものだったりしたら想像力は一瞬でいいけど」
「魔法は現物とは言い難いものだから、維持させるにはずっとそこにあるということを想像してなくてはいけないんですね」
「そこまで長く想像力を働かせたことが無い…」
「なら方法は1つしかありませんよトワ」
マナはテーブルの上に散らばったトランプを1枚取りながら言った。
「勝負は本当に一瞬です」
さもなくばとトランプを二本指で持って僕に投げた。
その絵柄はジョーカーだった。
「私たちは負けてしまいます」
自分が人魚にでもなろうかと考えたが、その後元に戻れるか分からなかったから却下した。
「うーん…」
詰んでいる、状況ははっきり言って分が悪い。かと言ってあの海でも呼吸が出来る薬を貰うのも恐らく無理だ。あれはアズールから貰えるものだからきっと交渉が必要になる。その時に奪われるのは間違いなくこの子達だ、絶対に避けたい。
「トワ、この事は明日考えよう、まだ時間はあるよ」
「あぁ……そうだな」
「トワ……」
ヨトが何かを躊躇う。
「どうした？」
「トワ、最近痛い所ない？例えば頭とか…」
「いや、ないが…」
「じゃあ、何か負担になっていることは…ストレスとか、引っかかってるところ無い？」
ヨトは何を言っているのだろうか、急に何を聞いているのか分からなかったが、負担になっていることを聞かれた時、心が動揺した。
あの想いは知ってはいけない。この子達を困らせてはいけない。
「…何も無い、どうした？急に」
「何も無いならいいの…じゃあ、またねトワ」
「トワ、無理しないでくださいね」
「？…分かった」
そうして2人は帰ってしまった。
「なぜあんな限定的に聞いたんだ…まぁいいか」
ふと鏡を見る。そういえば1回も長い前髪の奥を見たことが無かった。鏡に近づいて前髪をあげる。
「……？！」
前髪で隠れていた右目を中心に、顔に亀裂が少し入っていた。目の色も左と比べるとほんの少しだけ薄い。
「なんだよ、これ……」
誰にも見せてはいけない。
そう心に決めた。
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神里(プロフ) - カナリアさん» ありがとうございます、頑張ります！ (2021年3月27日 14時) (
レス) id: 2475bb3e2f (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - 良い作品です。更新頑張ってください！ (2021年3月26日 7時) (レス) id: 74f0a1383a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神里 | 作成日時：2021年2月27日 11時
