【d!】人気作家の異世界生活【軍パロ】

◆現状把握は仕事 ページ10

sha side

洗濯する、と部屋を出た彼女をコソッとつけていくと脱衣所のようなところで俺の服をジャバジャバと手洗いしていた。まああんだけ泥だらけならしゃーないか。

歩く度に痛みがあるが、そんなことより現状把握の方が優先や。申し訳ないけど家ん中調べさせてもらうで、と心の中で謝って脱衣所を離れた。

廊下に置かれた支援物資を確認すると多少は減っとった。料理はできるらしい。
キッチンにはようわからん液体が置かれとった。調味料なんか毒なんかはわからんけど、どれも蓋が開いていて使った形跡がある。
部屋の壁を叩きながら回るが空洞音がしない。隠し部屋とかは無さそうやな。床面も注意深く見て回るけど地下室とかも無さそうやった。

階段の上には部屋が3つあった。
ひとつめの部屋は寝室。おそらくAさんの自室やろうな。
シングルベッドには枕が2つ。全身鏡にドレッサー。引き出しを開けたら化粧品らしきものが入っていた。マンちゃんが持ってたようなやつだからあまり危険は感じられへん。
女子のタンスの中は流石に見れへん。ウォークインクローゼットには見たことない形の布と数着のドレスがあった。
とりあえずこんなもんか。

ふたつめの部屋はようわからん部屋やった。
生活していた影はあるけどベッドとかは無い。タンスの中は男性ものがちらほらあった。もしかしたら彼女のお父さんの部屋かもしれんけど、にしても生活感が無さすぎる。違和感のある部屋やった。

みっつめの部屋を見て、目を見開いた。
壁一面に埋まっている本。床にも、机にも本。
奥のデスクには紙とペンが置いてあった。見知らぬ文字が永遠と書き連ねられている。暗号か？これはまずいかもしれない。

壁にある本を手に取って開いてみた。これも見知らぬ文字。この本も見知らぬ文字。こっちも見知らぬ文字。どれもこれも知らん文字やった。

だが、わからん俺でも分かること。
それは、この本たち文字の種類が違うって事や。
全部で数種類の文字があることは分かった。でも少なくとも俺らの使ってる文字や友好国で使われている文字でもなければ公用語の文字でもなかった。
この辺はマンちゃんとかエミさんに調べてもらう必要がありそうやな…。

偵察部隊じゃないからカメラなんて持ち歩いてへんし、これをどうやって記録しとこうか悩んでいた時、後ろから声がした。


『サヨさん、いったいそこで何してるんですか』

その声が、あまりにも冷たかった。

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