◇言語のハードル(低) ページ11
サヨさんのカラフルな洋服の泥をどうにか落として洗濯機にぶち込んだ。
ワインレッドのニット帽についていた豚さんのピンバッチを返そうと客間に戻ると、いない。お手洗いにも、いない。
『サヨさーん？』
1階をぐるりとみて回ってもやはりいない。
足痛めてる怪我人が無闇に歩き回るんじゃないよ全く。
2階に上がると仕事部屋の扉が開いていた。
中を覗けばサヨさんが一冊の本を手にしていた。
『サヨさん、いったいそこで何してるんですか』
そう声をかけると思い切り肩が跳ねた。驚かせちゃったかな。
「あ、Aさん、これはちゃうねん、あの」
『怪我してるんだから歩いちゃダメですよ。余計悪くなりますよ？』
「え、あ、すまん」
『はぁ、暇でしたら何冊か持ってっていいですから』
「え？」
『その本、興味あるんでしょう？お貸ししますよ』
「いや、あの、読めへんねん」
『え？』
「この部屋にある本、俺読めへんねん。俺がわかるんは公用語とω語だけやねん」
俺、そこまで学あらへんからさ、と頭を搔く彼。
どうやら彼らは日本語が読めないらしい。そりゃそうか、私もこっちの文字何故か読めるけど初めて見たもん。
これは？これは？と確認してみたがドイツ語もフランス語もイタリア語も読めないらしい。
『あの、サヨさん』
「ん？」
『お願いがあるんですけど…』
文字を教えて欲しい。そうお願いした。
「文字？」
『はい、公用語？かω語？の文字の書き方を教えて欲しいんです』
「え、読み書きってこと？」
『読むことは出来るんです。でも、書き方わからなくて』
「読めるのに書けへんのか。不思議やな。」
『私が書けるの、ええと、この文字の種類だけで』
そう言って日本語で書かれた小説を渡す。
「ん？これだけ？さっき別のやつあったやん」
ほらこれとか、と出してきたドイツ語の本。
『それも、読めるけど書けないんです。こっちの本も、これも。』
「読めるだけ読めるってことか。話せんの？」
『話せません』
「でも、公用語は流暢に話せとるやん。」
『これ、公用語なんですね』
「せやで、えーっとな、"これは分かる？"」
『"はい、分かります"』
「なんや、ω語も話せるやん」
『え？』
どうしよう、公用語とω語の違いがわからない。
私にはどっちも普通に話してるようにしか聞こえないし、話し方を変えてもいない。困った、どう説明しようか。
「どした？」
『公用語とω語の違いがわからなくて』
「は？」
『どっちも同じに聞こえるんです』
「何言っとん、全くちゃうで」
『そうですか…』
いやまじでどうしよう。
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ーーー - 好きです (3月13日 4時) (
レス) @page35 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しい作品ありがとうございます！続きも楽しみにしてます。 (2023年3月27日 10時) (レス) id: 26248b9bea (このIDを非表示/違反報告)
なな - お米様抱っこ好きですw (2022年10月15日 21時) (レス) @page28 id: 7cadbb1f0e (このIDを非表示/違反報告)
スンドゥブ左衛門(プロフ) - 無名さんさん» お返事遅くなりました。どちらに掲載したのか等をお教えいただけるのでしたら、是非お願い致します。ﾂｲｯﾀとかでご連絡頂けると助かります。 (2022年8月7日 8時) (レス) id: 2b12ea7bfc (このIDを非表示/違反報告)
無名さん - 失礼します！僕今、おすすめの作品を紹介していて、作者様のお名前と作品を出してもよろしいですか！？こちらの作品僕大好きでして…ぜひ紹介したいんです！ (2022年8月6日 11時) (レス) @page35 id: ea8e66f22c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スンドゥブ左衛門 | 作成日時：2022年6月14日 15時
