不味い私を食べて下さい。【鬼滅の刃】

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朝の澄み切った空気は、今日が良い天気になる事を予兆している。

気温的にも過ごしやすい1日になるだろう。



そんな穏やかな朝だが、9人の柱の気分はそれとは正反対のものだった。




「朝5時頃、あの方を収容している館に向かっていたら隠の方達が気を失って倒れていました。

そして、あの方はいませんでした」


「くっそ、派手に逃げらてんじゃねぇか」


「胡蝶！人間相手だからと毒を弱めたんじゃねぇだろうな！？」




「…いえ、その逆です。

実はかなり強めたんですよ。通常であれば2、3日は体の痺れが続くほどに。

しかしあの方は館から抜け出す事ができました」


不穏な空気が漂う。





「あれ程の口をきくのだから全集中の呼吸を使えたのだろう！
それでも信じ難い事だが！」


「美しい上にミステリアスなんて…、是非また会ってお話してみたいわっ！」


「興味ないけど、大口叩かれたまま逃げられるのは良い気はしない」





個々が口々に言う事から取れるのは、橘Aへの嫌悪感だ。

甘露寺を除いてだが。





「こちらには刀がある」


柱の視線は言葉を発した人物に集中する。
冨岡だ。


いつもはほとんど発言しない彼に内心驚いている者もいる。




「冨岡めが、久しく口を開いたかと思えば何を間抜けな事を言っている。


刀があるから取り返しに来るとでもいうのか？
甘すぎるぞ、そんなの他の奴から盗めばいい
事だ。


俺たちはあの女を殺そうとしてたんだ。リスクを侵してまで戻ってくるわけがないであろう」



「あぁ、二刀流であるから……」

悲鳴嶼が呟く。





「なるほど。二刀流の剣士はほとんどいませんので盗むのは困難ですね。

ですがあの方は今すぐにでも刀を手に入れたいはず」


「日輪刀を入手する事が出来る場所は1箇所だけだ！」




「二刀流剣士の外出禁止し、そこで待ち伏せをすればいい。

二刀流が使う刀は普通とは異なることよりそれ仕様のもので無ければ質が落ちる」




冨岡の提案した事に乗っかるのを嫌がる者もいたが、

重罪人を捕らえる方法として最適なのは明らかであり、

この策は採用された。

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