人は、嫌いだ…でも貴方は…――【風間蒼也】

Episode 19 ページ21

風間Side




小さく響いた彼女の呼びかけは


確かに俺に向けられたものだった。


驚きつつもそちらを見る


風間『…どうした』


A『…っ……手当て…してくれたのは……』


身体中の包帯やガーゼを見つめながら


彼女は小さくそう訊いた


風間『俺がやるわけにもいかないだろう。


俺の仲間に頼んだ』




A『…そう………り…う…』


顔を背け、小さくつぶやいた彼女の言葉が届かなかった


風間『何だ？』


A『…あ、りがとう………』


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……正直に言えば驚いた


あれだけ怯え、敵意を剥き出しにしたあの目をした女が…


素直に礼を述べたことに。


直感で思った。


あんな目をするこいつは……本来の此奴じゃないのかもしれないと…


でもすぐにまた鋭い視線に戻ってしまう


よほど俺は警戒されているようだな……


A『記憶を……消すんじゃないの…？』


唐突に彼女はそう、ぽつりと呟いた


風間『悪いが…近界民関係の記憶はすべて消させてもらう。


だがその前にお前の住んでいた町を知る必要がある。


だから教えてくれないか』



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そう、訊いた瞬間だった


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彼女の目は…これまでよりも遥かに冷たく、鋭い瞳となった

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