太陽がよっつ ページ4
[ ※ここから台詞が入ります ]
「A!」
『お兄ちゃん!!』
私はお兄ちゃんに抱きつき泣きながら言った
『お兄ちゃ…っ、お父、さん、お母さん、が…ぁぁ』
1度溢れた涙は止まることを知らなかった
お兄ちゃんは、泣きそうな顔で
「大丈夫、大丈夫だから、」
と言い、抱きしめる力が少し強くなった
心做しかその手は少し震えている気がする
そうだ、お兄ちゃんはもっと辛いはずだ
久しぶりに地元に帰ってきたら訳も分からない怪物が街に来て訳も分からないまま避難所という基地へ連れていかれ
そして、やっと会えた妹に両親は死んだと告げられる
これ程までに自分の無力さを痛感することはないはずだ
『お兄ちゃん、あの、ごめんなさ』
「なぁ、A」
罪悪感に耐えきれなくなくなり、私が謝ろうとした時
兄から話しかけられた声が重なる
『ぁ、ぇっ、なぁに?』
返事をしてから暫く沈黙が続いた
その沈黙を破ったのはまた、兄だった
「俺と一緒にボーダーに入ろっか」
ほんのり目の下を赤くした兄がふにゃりとした笑顔で言った
『いっ、。…一緒に?』
正直ビックリした
ボーダーの存在は前々から知っていたし、
今回の大規模侵攻が起こる前から兄は入隊しようとしていたから、それ自体には驚かなかったが
ボーダーは危険なのと戦うと聞いていたため
てっきり私は誘われないと思ったから
「うん」
「本当はね、Aは誘うつもりなかったんだけどね」
「危険な目に合わせたくないし」
ほらね
昔から危ない事には近付けさせなかったもんね
『じゃあ、なんで…』
「なんで、って…」
「俺たちは兄弟なんだからさ、いつも一緒に居ないと駄目だろ?」
どこまでも優しい口調だ
『…いいの?私運動神経そんな良くない…』
「Aは体めっちゃ柔らかいじゃん」
『勉強だってでき、ないし、っ…』
「Aは頭の回転早いからいーの」
『ミスばっか、しちゃう、よ…っ』
「Aのミス何て可愛いだろ?全部笑ってやるよ」
『それに、っそれに…』
「俺にはAが必要なんだよ」
「いっつも俺の後を着いてきて、可愛い笑顔で俺の名前を呼ぶAが」
さっきので涙はもう全部流したはずなのに
また私の頬を伝った
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作者名:都こんぶ | 作成日時:2023年11月14日 21時