硝子窓 (ページ5)

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何者ページ5

「お前誰じゃ」

すると汐路の隣に座っている青年が訝しげに振り返る

年齢は四つか五つくらい上だろうか。スポーツマンタイプである

『えっ、私は…(我路君の代理としてスカウトされたバイト？)』

…って絶対納得して貰えないでしょ。大体、自分自身がこの状況を把握できてない

「私の"彼氏"だよ。いずれ家族になる人だから、別にいいでしょ」

汐路が息を吐くようにスラスラと嘘を付く。バイトからいきなり(ニセ)の彼氏に(そもそも性別違う)抜擢されたAは勿論のこと、親族一同が驚いたのはいうまでも無い

「このブロッコリーが！？」

『(ブロッコリー…しかも性別違うし)』

初対面の人に人間認定(性別も違う)されず、少なからずショックを受ける

そんなAをよしはしに、遺言公開が進んでいく

小さな咳払いの後、車坂が厳かに文面を読み上げた

　遺言書

　遺言者は遺言者が有する一切の財産、狩集家が有する一切の財産を、祖先に従い、ただ一人の相続人に相続させる

　但し、我が実子四名は既にこの世になく、その配偶者には権利がない。従って孫世代の中から、その一名を選ばねばならない。

　狩集理紀之助

　
赤峰ゆら

　波々壁新音

　狩集汐路

狩集幸長の長男の息子、狩集理紀之助は三十そこそこ。細フレームのメガネをかけた貴公子然だ

幸長の長女の娘、赤峰ゆら。美形の家系なのか、黒上ボブと切長の目が印象的な美人である

ゆらが膝に抱っこしているツインテールの幼い少女は彼女の娘で、名前は幸。母娘の後ろには、おとなしそうな夫が控えている

先ほど広島弁で話しかけてきたのが、幸長の次女の息子、波々壁新音、そして、幸長の次男の娘が、高校一年生の狩集汐路