硝子窓 (ページ14)

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四人兄妹ページ14

汐路の家は東京にあるのだが、その頃、汐路の父親の狩集弥は妻のななえにも詳しい事情を話さず、しょっちゅう広島に来ていたのだという

パパっ子だった汐路はよく父親にくっついてきていたが、なぜか弥はいつも深刻そうだった

汐路はポケットからスマホを取り出し、保存してあった一枚の写真を見せた

場所は本家の庭だろうか。中年の男女四人が並んで写ってい
る

「これが私のパパで、新音のお母さんと、理紀ちゃんのお父さんと、ゆらちゃんのお母さん。四人兄妹なんだけど、その頃からよく言い争いをしてた」

この写真を撮ってから半年ほど経った、よく晴れた冬の朝。その兄妹四人は車に乗り、弥の運転で何処かに出かけて行った

その車が山道の崖から落ちて爆発炎上し、全員即死したのだという

「……多分殺し合ったんだと思う」

『それっていつですか』

「八年前。その時にはもう、遺産相続の戦いが始まっていたんだよ」

『でも、四人とも亡くなってますよね？』

「誰かが失敗して、うっかり全滅しちゃったんだよ。バカみたい。でも事故って事になってる。パパの居眠り運転だろうって」

汐路の顔が苦痛を受けた様に微かに歪む

『……』

「おじいちゃんが相続した時も、兄弟が二人亡くなってる。喧嘩して海に落ちたんだって。その上のじいちゃんのばあちゃんも、みんな殺し合ってきた。そう言う家なの」

つまり、汐路はこう言いたいのだ。当主だった汐路達の祖父が亡くなり、その子供も四人とも亡くなって、今度は孫達が命を懸けて争う番なのだと______