硝子窓 (ページ12)

今日:11 hit、昨日:10 hit、合計:4,872 hit

危険ページ12

翌朝、鳥達の囀りで目を覚ました。スッキリした目覚めでは無く、どうも夢見が悪かったような…

巻いたままのマフラーに顔を埋め、ぶらっと身震いする。自分の住んでたいる部屋と違い、古い日本家屋は底冷えする寒さだ

布団を出て、白いパーカーの上に着た作務衣姿のまま、庭に出てみる

飛び石と上を歩いて行くと、計算された役木や、苔むした石燈籠、蹲踞や鹿威しなどがさりげなく配置されている

遣水のある大きな池の水風景は一幅の絵のようで、休憩用の東屋があちこちに建っており、とても一個人の庭とは思えない

ぶらぶら散歩していると、すでに普段着に着替えた汐路が祠の前で手を合わせていた

『おはようございます』

「おはよう」

『庭にこんなのまであるんですね』

汐路達の祖父が、この祠を毎日拝んでいたという

「鳥居もあるよ」

個人の土地でも祠ならまだ無くも無いだろうが、汐路の言葉には声を失ってしまった

「あ、理紀ちゃん」

祠を離れようとした汐路が、ふと足を止めた。池の方へ張り出した小さな出島の様な場所に、理紀之助が一人で立っている。柵に寄りかかり、池の錦鯉に餌をやっている様だ

「あそこ柵がグラグラで危ないから、後で教えてあげなくちゃ」

『……』

「じゃあAさん、蔵に行かない？」

汐路が、思い付いた様に言った

・

・

まるで巨大な迷路の様な敷地内を汐路は勝手知ったるなんとやらで、どんどん歩いて行く

ほぼ垂直の崖地と家屋に挟まれた、切通しのような細い路地に差し掛かった

「こっち！！」

汐路が立ち止まって、振り返った次の瞬間、汐路の頭上から植木鉢が落ちてきた