硝子窓 (ページ11)

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魔除けページ11

そう言えば、狩集家の家紋は籠目紋と呼ばれるものに似ていた。これも魔除けの力を持つと言われている

『泥棒除けにもなるんですよ』

アメジストドームは良い運気を集めると言われ、財運や家運の上昇、事業の成功などをもたらすお守り石として人気があり、会社や家庭などの、気の通り道である玄関先に向けて置くのが通例だ

サメがパックリと口を開けたようなそれを幾度も見かけた事はあるが、あそこまで大きいものは初めてだ

「Aさん詳しいんだ」

『子供の頃、石と会話してたので』

「キモッ！」

コンマ一秒で心が折れた

「Aさんはこの部屋使ってね」

汐路が案内してくれた部屋には、高級旅館のようなふかふかの布団が既に敷いてあった

「後お風呂はね、こっちの……」

『私他人の家でお風呂には入りたくありません』

「でも、近くとかに銭湯とか無いんじゃないかな」

『いえ、他人と入るのはもっと嫌です。プールも入りたくありません』

汐路は沈黙し、冷ややかな目で見つめられた

「まぁ好きにして。着替えはそこ」

枕元には濃茶の作務衣が、きちっとたたんで用意してある

「下着とか歯ブラシとかは近くのコンビニあるから」

『一泊分は持ってます』

「あ、日帰りのつもりだったのに？」

『遠方に行く時は何があるか分からないので。災害とか事故とか、川に落ちたりとか』

「なんかもうどうでもいい」

汐路は面倒くさくなったらしい。部屋を出ると、"落ちろよ！"も非情に言い捨ててピシャリと襖を閉めた

『……強引に連れてきたのに何ていう塩対応』

一つ息をつき、リュックを下ろした。乗りかかった船と諦めて協力するしかなさそうだ

______ダッフルコートを脱ぎかけた時、いきなり襖が開いた

『！？』

驚きの余り、再びコートを羽織り直して蹲る

「言い忘れた」

汐路が神妙な顔で襖口に立っている

「無理矢理引っ張ってきてごめんね…後、性別も偽って。迷惑だと思うけど、来てくれてありがとう。以上！！おやすみ」

一気に言うと、再びピシャン！！と襖を閉める

＿＿＿＿礼儀正しいんだかなんなんだか

どっと疲れて、深い息をついた