硝子窓 (ページ2)

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印象派展ページ2

旧広島藩主、浅野家別邸の庭園"縮景園"に隣接する広島県立美術館では、フランス印象派展の美術展が開催されていた

『はー、観にきてよかった』

いつの間にか外は雪が降っていて、道路にはうっすら雪が積もっている。広島に来る予定はなかったけれど、コレも神様のお導きかもしれない

『ロートレックのマグネットも買えたし』

ポストカードも数枚買ったし、コレクションにしてあるチケットの半券も勿論大事に仕舞い込んだ

『でもモネとかはきっと、もっと大人になってからの方が分からんだろうな』

鑑賞するたび理解が深まり、そして新たな発見がある

______などとつらつら考えていたAは、ふと足を止めて背後を振り向いた

『……』

しばし行き交う人々を眺めた後、路面電車の乗り場へと向かう

広電の愛称で市民に親しまれている広島電鉄の路面電車は、大正元年の開通以来、今も都市の大動脈として活躍している

都電荒川線や函館市電など、日本の各地に路面電車が走っているが、広電は編成数・年間輸送人員共に全国一である

縮景園前の駅で待っていると、ベージュと緑のツートーンカラーに塗装されたレトロな車両の電車がガタンゴタン、と走ってきた

被曝電車と呼ばれる車両が現役で活躍しているかと思えば、近未来的なデザインの車両が走ってたりする。こうした車両の豊富なバリエーションも、広電の魅力の一つだ

空いている先に座り、車内の暖かさにホッと一息つく

のんびりした走行音を聞きながら電車に揺られていたAは、不意に横目で車内を見渡す

『……』

欠伸をしている会社員風の男、赤ちゃんをあやしている若いお母さん、スマホを見ている黒ソックスの女子高校生、おしゃべりに余念がない買い物帰りの主婦達など、車内の席はほぼ埋まっていた