硝子窓 (ページ1)

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プロローグページ1

八年前の、よく晴れたある日

広島県の山道で、一軒の交通事故が起きた。見通しのいい、緩やかなガードレールを突き破って空を飛び、二百メートル近く崖下に転落したのだ。

地面に叩きつけられた車は、爆音を響かせて炎上

天に届かんばかりに黒煙が噴き上がり、乗車していた四人の男女は、全員即死した。

尚、死亡した四人は兄弟姉妹の間柄であったと言う

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夕暮れの穏やかな波の向こうに、幾つかの島影が横たわるように浮かんでいる

心地良い海の揺かごで、深い眠りにつこうとしているかの様だ

海水浴シーズンには多くの客で賑わうこの海岸も、季節外れのこの時間に人気はなく、微かなさざ波の音だけが、優しく耳に流れ込んでくる

サラサラの金髪と黒いロングコートの裾を潮風に靡かせている

「……いよいよだね」

______彼の名は、犬堂我路

水平線に視線を向けたまま、我路は言う

「……うん」

我路の隣に立っている、ショートカットの女の子が頷く

「今は警察に追われてる身だから、約束を守れそうにない。君の一族には闇がある。君を守りながら覗き込んでみようかなと思ってたんだけど」

「わかってる……」

彼女もまた、薄暮に溶けていく海の果てをジッと見たままだ

「……最近面白い大学生と知り合ったんだ」

「面白いって？」

「いろんなことを細かい所まで良く見てる。そして気付いた事をウザがられてもひたすら喋る。後、もじゃもじゃの頭をしてる」

「もじゃもじゃ？」

「うん、もじゃもじゃ」