遠距離系×交換日記。。【名前変換オリジナル】

１６ (6月13日) ページ16

それからの事はよく覚えていない。
頭の中が聖夜君の事でいっぱいなって、今にもショートしそうな勢いだったから。

いつも私に優しく接してくれた聖夜君。
笑顔で私に接してくれた聖夜君。
私を1人の人間として見てくれた聖夜君。

聖夜君と離れ離れになる日が来て、私やっぱり思った。
聖夜君の存在が私に無くてはならないものになってるって事。

だからこんな事になるなら交換日記なんて始めなきゃ良かったなんて思えない。
交換日記は私の大切な、いや、それ以上のものだから。


私には今日の風景が脳裏に浮かび上がって離れない。
聖夜君のあんな表情、見た事無かった。
いつも相手の事を思いやってくれる聖夜君があれほど自分の感情を露わにするなんて珍しくて。

……自分の感情を露わにする？

どうして聖夜君はあんなに感情を露わにしたの？
感情が露わになった理由って？
あの状況で考えられるのは１つ。

聖夜君は、私の事を……私の事を、


それから２日は何もかも身が入らなくて、ただぼーっとしただけだった。
何か行動を起こせたらどんなにいいかとは思うけど、
今の私の頭じゃ何にも思いつかない。
まるで脳だけが動かなくなったみたいで。

苦しいとも哀しいとも思えなくて。
そんな自分を戒める事も出来なくて。
辛くて辛くて仕方が無くて……

それなのに不思議と涙は出なくて。
ただただ悔しかった。


あっという間に残された時間は過ぎていって。
聖夜君の引越しの日がやってきた。

私はベッドの上で交換日記をもう一度読み返していた。

『たのしかったなぁ………』

自然と微かな笑みがこぼれる。
聖夜君と過ごした日々は今までの人生の中で1番充実してた。
これだけは間違いない。

一生分の不思議な経験がこの短期間にぎゅっと凝縮されたような感じ。
不思議な事を経験するのは案外悪くないかもって思った。
それに一番の要因はやっぱり聖夜君の存在だと思う。
だからどうしても忘れられない。
聖夜君の事だけは、いつまで経っても……

『…………』

気が付いたら頬を涙が伝ってた。
この３日間、全然出なかった涙がなぜかとめどなく溢れ出た。

ずっと気付いてた、この気持ちには。
だけどこの気持ちを露わにしたら何もかも崩れ去ってしまいそうで、ずっと隠し続けてた。
だけど、もう我慢できないや。


私はいきなりベッドから起き上がると一目散に家の外に駆け出た。

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