記録 ページ17
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「ふふ、じゃあ革命軍の仲間に入れてくださるんですか、先生」
涙はどこへ消えたのやら、顔を綻ばせて少女は問う。革命軍。何もせず、何を考えるまでもなく死んでいくよりは、革命軍として生きて、名誉ある死を迎えたほうが良いに決まっている。それが誰から見た「名誉」なのかは知らないが。
「はは、記録係としてな」
柊の顔にも花が咲く。記録係、先生が革命を起こすのなら、一等近くでそれを見物することが出来る特等席のように少女には思えてきた。もはや、人質という気はしなかった。それでも、共犯者というほど大それた者でもない。今の少女と柊の関係を、的確に表現する言葉はまだ無いのかもしれない。一つ言えるのは、少女は柊に逆らえない。爆発物を手のひらで転がしているようなものなのは勿論、あのノートの内容をクラスメイトに知られるのは状況的に良くない。これは期待であるが、この手記を書き終えるまで柊は私のことを殺す真似はしないのではないか、と少女は安易に考えてもいた。
「じゃあ先生、私はこれで」
「A、これ」
出口に向かって歩きだそうとすると、柊が何かを少女がいる方向へ投げる。反射的に、少女はそれを両手で受け止めた。良く見ると、それは水色のポーチだった。お前がここに来た目的だろ、と馬鹿にするように、けれど嫌な気はしない笑顔で教師は忘れ物、と言う。途端、少女は今の自分の状態を思い出して少し気持ちの悪い気分になる。けれどこれは月に一度の恒例行事。数日我慢すれば良いことなのだ、と思い、今度こそ出口へ向かう。予定より長居してしまったが、どうせ教室に戻ったところで私の心配をしている人などいないのだろう。それよりも今は、ただこの藍色のノートに文字を埋め尽くすのが楽しみで仕方がなかった。
教師に人質にとられ、脅されている。それが世間の見方だが、そんなシチュエーションだとは思えないほど胸を弾ませた少女は廊下を駆けた。それは青春のようだった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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- 健康運: ★★★★★
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鑑 涙栖(プロフ) - ゆうさん» 閲覧、コメントありがとうございます！ ドラマ沿いにすると夢主の台詞をどう会話に突っ込んでいいか分からないのでこのような形になっています(笑)風変わりなものを書いていると思いますが、こうしてコメントをいただけるととても嬉しいです (2019年2月15日 16時) (
レス) id: 3eec8abc69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 初めてコメントします。ドラマ沿いの小説が多いなか、少し違った視点、角度からの小説だったので新鮮でした。 (2019年2月14日 23時) (レス) id: b0c7457ca7 (このIDを非表示/違反報告)
鑑 涙栖(プロフ) - のあさん» 閲覧、コメントありがとうございます。陳腐だなんて滅相もない、その言葉だけで私は随分救われてます。ありがとうございます(笑)偏人三面相のほうも読んでくださってるんですか……！あちらも更新頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年2月3日 17時) (レス) id: 3eec8abc69 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 、初めまして。本当に本を手に取って読んでいるような感覚でした。陳腐な言葉ですが、とても面白かったかったです。素敵な小説をありがとございました。偏人三面相の方も楽しみにしています！ (2019年2月3日 17時) (レス) id: 30887f6f4e (このIDを非表示/違反報告)
鑑 泪栖(プロフ) - りょうさん» 楽しんでいただけたようで幸いです！ コメントもありがとうございました！ 作中作の構成や、冒頭部分を最後にもう一度持ってくるのが好きなのでこのような構成になりました(笑) (2019年2月1日 16時) (レス) id: 3eec8abc69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鑑涙栖 | 作成日時：2019年1月24日 21時
