.03_03 ページ47
.03
｢ねぇ〜最近稜雅元気なくない？｣
｢あ、それ思ってた。Aちゃんと喧嘩でもした？｣
Aが出張に出て1週間経った頃、楽屋で佑亮がふと思い立ったように言った。それに乗るかのように海の鋭い考察が飛んでくる。いや、喧嘩じゃないんだ。
｢元気だよ超元気。喧嘩なんかしてねぇよほらソコ残念そうな顔するな！｣
なんだ〜、と言いながら大きく伸びをする祐基。Aがすごく面倒見がいいことをメンバーは知っているから、隙あらば接触を図ろうとしてくる。絶対にやらんぞ。名前を出されると頭の中にAの顔が思い浮かんで自然とため息が出た。
｢そんなこと言いながらため息出てんじゃん｣
｢なんかあったの？｣
普段ここまでテンションが落ちたりしないからか、メンバーが珍しいものを見るように聞いてくる。Aに任せっきりだった家事を全部(料理以外は)こなしながら仕事をしてゲームをしてゲームをするだけでなんでこんなに大変なのか、本当にAのありがたみを実感するだけだった。
｢いや、Aが出張で家に居ないんだよ。｣
｢へぇー出張とかあるんだ。｣
｢俺も初めて聞いたけど、今回限りっぽい｣
｢だから寂しいのか〜！｣
｢うわ、惚気かよ｣
｢ホンマに幸せ者やな〜｣
｢ちげぇよ話を最後まで聞きなさい！？｣
皆がほら早く言えと言わんばかりにこちらを見つめてくる。なんだか言いづらかったけど言わないと面倒なので全て素直に白状した。そうすると皆が口を揃えてえ！？あの稜雅が家事してんの！？と驚いた。
｢いや〜、あの稜雅が家事を…ねぇ｣
｢明日にでも台風来るんじゃない？｣
｢この前テレビで家事全くしないって言ったばっかやのになぁ｣
｢お前ら……これは深刻なんだからな。｣
｢じゃあ今一番欲しいものはAちゃんってか〜｣
｢……割と真面目に｣
もはやなんとでも言えと思い消え入りそうな声で言うとまた盛り上がるメンバー達。お前ら心は男子高校生のままですってか。
｢いつ帰ってくるの？｣
｢……あと一週間｣
｢稜雅ガチで魂抜けてるじゃん｣
｢せっかく帰ってくるのに来週ライブだね｣
｢しかも奇跡的に大阪じゃん｣
｢うわ、入れ違いなのか〜｣
｢……そこ言っちゃう？そこ言っちゃう？俺そこへのダメージがいちばん強いよ？｣
｢え、ごめん！！｣
佑亮はやらかした、ともはや顔に書いてある。なんだか家に早く帰るのが嫌になって、久々にメンバーとご飯を食べに行った。勿論ティアラはめちゃくちゃ怒っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(；；)励みになります！ (2018年10月4日 22時) (
レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです！！ 更新待ってます！！ (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なるせ | 作成日時：2018年8月25日 5時
