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「……え?」
久々に家に遊びに来た彼氏の第一声がこれである。いや、想定はできたけどもっと言い方があるでしょうが。
「いらっしゃい。どーぞー」
「えっいや待ってなんで…?」
「……なにが?」
「いやA、髪……」
「あー。切ってみた、どう?」
腰くらいまであったロングヘアを突然の思い立ちでショートまで切り落とした。かなり頭が軽いし個人的には気に入っている。最初は違和感だらけだったけど、もう切ってから1週間も経っているからそれほど気になっていなかった。あまりにも軽いあしらいだったのか、晃一はまだ玄関で一人ぽかんとしていた。
「とりあえず上がって?」
「お、おん」
「……何でそんなバッサリ切ったん」
「思いつきかな」
「思いつきでそんな切ったんか!」
なんやそれ!と言いながら笑い始めた。ソファに腰掛けると今までは日常的に見ることが出来なかった私のうなじを撫でた。
「おぉ〜。なんかええなぁ」
「その言い方なんかオヤジくさいな〜」
「そんなことあらへんて」
「ね、そろそろくすぐったいよ」
そう言うと晃一はぱっと撫でるのをやめふと大事なことに気付いてしまった!と言わんばかりに顔をしかめた。
「あかん、これ跡つけられへんなぁ」
「は?長くても短くても見えるところにつけないでよね!」
「あひゃひゃ、何顔赤くしてるん…期待した?」
「晃一のばか!おやじ!晃一だって顔赤いくせに!!」
自分の顔に熱が集まると同時に晃一も耳まで真っ赤になっている。強がるくせに顔には出てしまう所が何とも愛しい。うっさいわ!と言いながら晃一は噛み付くように私のうなじにキスをした。そのままするりと着ているニットをずらすと肩に一瞬痛みが走り赤い華が咲いた。
「ばっ…か!」
「ここなら見えへんやん」
「服のびる、から…ん」
私の言葉を遮ってキスすると服をずらすのをやめ、下からするりと服の中に腕が入ってくる。思わず晃一の手を服の上から掴んだけど、そんな抵抗も虚しく自由に動き回っていく。
「んー、長いのも好きやけどショートもええなぁ」
「ねぇ、まだお昼だし…や、だ」
「え〜何Aちゃん夜ならええの?」
にやりと笑うと服の中から手を出してこちらを伺ってくる。もう、こういう時だけはちゃっかりしてるのだ。おまけにちゃん付けなんかで呼んじゃって。
「…仕方ないからいいよ」
「ほな、そーいうことにしといたるわ」
どこか満足気に晃一が頷く。こうして秋の長い夜が始まるのであった。
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(;;)励みになります! (2018年10月4日 22時) (レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです!! 更新待ってます!! (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるせ | 作成日時:2018年8月25日 5時