【ハーツラビュル寮・トレイ】-お菓子よりイタズラを-※三人称 ページ6
待ちに待ったハロウィーン。
Aとグリムは心躍らせながら夜のナイトイレブンカレッジを周っていた。
昼間とは違い、怪しげな雰囲気が学園を彩っている。
「どこ行くんだゾ?」
「植物園に行こうよ。今の時間ならトレイ先輩がお菓子配ってるんじゃない?」
お菓子作りが得意なトレイは、このハロウィーンでも学校が用意したキャンディーとは別に来場者へお菓子を配っていた。
「甘くて良い匂いがするんだゾ。A、急ぐんだゾ!」
グリムに急かされてしまい、Aは走って植物園へと急ぐ。
植物園に到着する頃には彼女は荒い息を吐いていた。
「トレイ、先輩っ……」
「お! 来てくれたんだな……って、どうしたんだ?」
幸い植物園は混雑しておらず、トレイはAに気づくとすぐに来てくれた。
「グリムが先輩のお菓子を食べたいって、聞かなくて、走ってきましたっ」
息を整えながらAはトレイと向き合う。
彼も仮装していて、いつもと違う雰囲気だなとAは胸が高まるのを感じる。
「なるほどな……。だがちょっと遅かったな、用意したお菓子は配り終えてしまったんだ」
「ふなっ!?」
申し訳なさそうなトレイと、驚きと絶望に包まれているグリム。
「悪いな」
「お菓子がないんじゃ意味ないんだゾ〜〜〜!」
拗ねてしまったのかグリムはトボトボと植物園内を歩き回る。
「グリムは食い意地が張ってるんだから……すみません、先輩」
「いや、謝るなら俺のほうだよ」
困ったように笑うトレイ。
「とても、似合ってます……その衣装」
Aは照れたように話す。
「そうか? お世辞でも嬉しいよ」
「お世辞じゃありません! 本当にカッコいいです!」
思ったよりも大きな声が出てしまい、Aは慌てて自分の口を押えた。
しかし声に出してしまった後なので意味を成していない。
「ありがとうな、A」
トレイは優しく微笑むと彼女の頬に手を添える。
何だろうとAが彼を見上げると、唇に生温かい感触と彼の顔が近いことを頭の隅で考える。
「え……」
トレイの顔が離れて初めて、Aは自分がキスされていたことに気づく。
「お菓子をあげれなかったからな。代わりにイタズラをしてやろうかなって」
意地の悪い笑みを浮かべるトレイ。
「ズルい、ですよ……」
「ズルいのは……お前の可愛さだよ」
そう言ったトレイはAの唇に、甘いキスを落とした。-fin-
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Licht-リヒト-(プロフ) - いちご庭園さん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません! 応援、そして私の作品を好きと言ってくださってありがとうございます!! とても嬉しいですし、励みになります! 今後もよろしくお願いします! (2021年7月4日 22時) (レス) id: 2db1a0a3f4 (このIDを非表示/違反報告)
いちご庭園 - 夢に向かって頑張ってください!作品好きです! (2021年7月3日 22時) (レス) id: 26f1e978d7 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - Licht-リヒト-さん» 私の自業自得で貴方にも迷惑させて、誠に申し訳ありません。 (2021年4月17日 9時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
Licht-リヒト-(プロフ) - 星猫さん» なるほど。お気になさらないでください。 (2021年4月16日 16時) (レス) id: 06cdff307d (このIDを非表示/違反報告)
Licht-リヒト-(プロフ) - 華衂??暁さん» 返信がだいぶ遅れてしまい、申し訳ありません。私の書いた作品を読んで頂けたこと、そして応援もして頂いて、ありがとうございます! いつの日にか更新を再開しようと思っていますので、その時はまた読んで頂けると嬉しいです! (2021年4月16日 16時) (レス) id: 06cdff307d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Licht-リヒト- | 作成日時:2020年10月14日 13時