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クスクス…

何?

あれがサトシ王子?

あの噂の?


全然イメージが違う。

もっとギラギラした人を想像してたのに

実物は…なんていうか…うーん……

おっとり?

ホンワカ?

ふんわり?

うーん…どれもイマイチピンとこないけど

少なくとも噂に聞いていた王子のイメージとは真逆で

ちょっと、いえ、かなり?拍子抜け……





…でもああ見えて実はすごい、とか?

全然そうは見えないけど。。。。





そういえば先程の陛下のお話では

私達も一度会ったことがあるらしい。


けど、全然憶えてない……








子供の頃の記憶なんてほとんどない。


お父様に連れられあちこちの国へお供したのは憶えてる。

でも、ただただ退屈だったことしか憶えてない。


どこの国に来ているのかも

ましてや大人達の難しい話ももちろんわからず

遊び相手にと引き合わされた子供は皆

イケ好かない王子や王女ばっかりで

まともに遊んだ記憶もないから

顔なんか思い出せるはずもない。

そのどれもが、ワンパターンの記憶でしかない。


でも……





そっか…ココにも来たことあったんだ…





広大な庭から見える優美な作りのお城を見る。

けど、やっぱり何も思い出せない。





その時、ザアッと吹いた一陣の強い風に乗って

フワリと運ばれた花の香り……








『カズちゃん、カズちゃん!
ほらこっち来てみ!
…がすごいでしょ!』


『うわぁ、ホントだぁ〜♪』


『ハイ、これカズにあげる。』


『え?いいの?
きれぇ〜!ありがとう・・・!』








花の香りと共に運ばれてきたのは

夢の、カケラ…?





私が時々見る、あの夢……





誰かがくれた花冠を付けて

咲き誇る花の中で無邪気にはしゃいでいる私。

夢の中はとてもとても楽しくて…

花冠をくれたその人が私に向けて手を伸ばすから

その手を取ろうと私も手を伸ばす…


でも、いつもそこで目が覚めた。

少し冷やりとした誰かの手の感触が残っているような気がして

ベッドの中、虚空に伸ばした手を見つめる。


夢はいつもぼんやりとしていて

そこがどこなのか、誰といるのかもわからない。


けれどその夢を見たときは

胸の中にふわっと温かい灯がともったような

なんだかとてもくすぐったい気持ちになった。








今のは、何…?


誰かの名前を呼んだ幼き日の私…

あれは、誰…?


あなたは……





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作者名:author | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年6月1日 17時

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