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｢どうかしました？｣
｢や！あ〜…あのその、別に…｣
｢うふふ…女性に手を取られるなんて
いつものことでは？｣
｢え？いや…ああ、うん、まあ、そうなんだけどさ…｣
｢ふふっ、面白い方……
でも、本当に美しい手をしているんですね。｣
｢そ、そう？｣
｢ええ…指が長くて繊細で…とても羨ましいです。
私、あんまり自分の手が好きじゃなくて…｣
｢ふーん、そうなの？
…あ、でもおれはその手好きかも。｣
｢…え？｣
ホント、手までニノにそっくりだ。
思わず懐かしくなって、プニプニとさわってしまう。
｢あ、あの…//王子？｣
｢なんつーか、小っちゃくてカワイくて、好き。
丸っこくて、爪がおかっぱの女の子みてーじゃん？｣
｢おかっぱ？…ってなんです？｣
｢あれ？知らない？コッチにはないのかな？｣
｢うふふ…あなたは本当に面白い方。
噂に聞いていた王子とは全然違いますね。
本当は別人なんじゃ？｣
｢え？！そっ！そ、そ、そんなことあるわけねーだろ！！
おれは正真正銘、本物のサトシ王子に決まってんだろ！｣
｢ｸｽｸｽｸｽ…ご無礼をお許しください。
…では、私はそろそろ失礼いたします。
会ってはいけないはずの2人が
いつまでも一緒にいるのはいけませんものね。
では、サトシ王子、ごきげんよう…｣
｢ご、ごきげんよう…｣
王女はさっきと同じように優雅に挨拶してから
にっこり微笑むと軽やかな足取りで去って行った。
なんだよ、ごきげんようって…
サイコロ投げんのかよ…
てゆーか、思わずよけちゃったじゃねーか！
しかもいきなり手ぇとるとかビックリすんだろ！
これ以上ドキドキさせんなよ！！
つーか、なんなんだよ！？
おれ、誰に怒ってんだよ！！？
なんかもう、ワケわかんねーよ！！！
あー！早く元の世界に帰りてぇーーー！！！
……でもあの時。
くるりと背を向けた王女から
フワッとやわらかい
いい匂いがしたんだ。
それがなんかすごく
懐かしい、香りだった……
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