ペイント 71 ページ22
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「映画にイノシシなんか出てこないよ」
「え?」
コーヒーを1口飲み私を見てそういった
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「本当はよく覚えてないんでしょ?映画の内容」
「.......うん」
「どう思った?映画見て」
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ココアの氷がカランッとまた音をたてる
「遠い.......人なんだなって.......思った」
「それで?」
「見に来てたお客さん達が....
...藤ヶ谷さんのこと沢山褒めてた」
「それで?」
「スクリーンの中でキラキラしてた」
「それで?」
「.......ぃたくなった.......」
「.......え?」
「会いたくなった.......でも.......」
「でも?」
「痛いの。藤ヶ谷さんに会うとここが苦しくなって
すごく痛くなるの。発作の時の痛みと違って。
ギュッってなってズキズキって.......
でも.......会いたい......」
キラキラしてて私なんかが関わっちゃいけないほど
遠い人だって思った
「会ってどうするの?」
「会って.......それで.......」
「もう会いませんって言うの?」
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"もう会わない"
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前にアコちゃんに言われたその選択が
私の脳裏をよぎる
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「ねえ、その痛みどんな病気か知ってる?」
「.......え?」
「知りたい?」
そうアコちゃんに問われ頷いた
「じゃあ一つだけ聞かせて」
「.......うん」
「もしAに病気があることを知って
この先が短いってなった時
それでも一緒にいさせてほしいって言われたら
喜んで受け入れる?」
「.......え?」
「受け入れる?」
うんと頷くことも
いやだと首を振ることも出来なかった
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「藤ヶ谷太輔の時間を貰うってことだよ」
"時間を貰う"
それは残り少ない時間しかない私のために
時間を割いてもらうって意味で
その時間がこの先の彼の人生に必要かと思えば
答えは1つ
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不意に泣きそうになり
数分前に届いたココアを口にして誤魔化した
「ちゃんと蹴りつけな」
そう言ったアコちゃんは
テーブルに置かれた伝票をもって
私に一言いって店を後にした
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「その痛み.......恋っていう病気なんだよ」
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口にしたココアはまるで
私の涙を拾い集めたかのように
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溶けた氷と沈殿していた
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よこざわ(プロフ) - ソフィアさん» お返事遅れてしまい申し訳ございません汗 そしてまた更新が1ヶ月以上経ってしまいほんとにごめんなさい涙 コメント本当に嬉しいですありがとうございます!引き続き「僕のペイント」よろしくお願いします(^^) (2019年1月7日 17時) (レス) id: 424d772f8e (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - ソフィアと申します。続き読めて嬉しいです。 (2018年10月21日 7時) (レス) id: 150cb2cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よこざわ | 作成日時:2018年4月22日 23時