僕のペイント (ページ6)

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ペイント 6 ページ6

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「あの！ハアッ、ハアッ、これ、良かったら！」

今の季節にはあまり似合わない額の汗を見て

数百メートル先から走ってきたんだなと気づく

「あ、え？」

「あ、すみませんあの、えっと、絵が上手って言われたのすごく嬉しくて、それで、あの、いらないですよねこんな絵(笑)」

そう言って持っていた紙をぐちゃぐちゃに丸めた

「ちょちょちょっ！待って待って待って！」

彼女の手の動作を止めるために思わず彼女の手を握ってしまった

そこからゆっくりと手が開きその紙を広げてみるとさっき書いていたあのキリンの絵

「いらないですよね。初対面の人から貰った絵なんて(笑)すみません。忘れてくだ……」

「貰う。」

「え？」

「貰います。俺、絵のこととかよく分からないけど、この絵好きだから。」

「あ、え、っと、あの、あ、ありがとうございます！」

「こちらこそ。すげー嬉しい。」

「じゃあえっと、その、お、お気をつけて！！」

すごい早口で言った彼女はすごい速さで走っていった

あの子の手、冷たかったな

……ドキッ……

あ、まただ……

ていうか

「俺のこと知らないんだ……」

散った紅葉が風に揺られ

秋の終わりを告げようとしていた