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「お願い……」
きっと今
泣きながらアコちゃんの服にしがみついている私は
はたから見たら
お菓子を買ってほしいと駄々をこねる子供のように
力は入らないけど必死だった
「体調良くしてからでもいいじゃない。
入院ってずっと病院にいることじゃないんだよ？」
「それじゃおそいのよ！！！
また……いなくなっちゃう……」
「そのまえにあんたがいなくなったら
もともこうもないでしょ！！！！！！！」
「私が死んでも誰も
悲しまないよ！！！！！！！！！！！」
___________パシンｯ
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一瞬の事だった
左頬の痛みは涙と共にじわじわと痛みだす
「そんなこともう1回いったら
これだけじゃ済まないと思いなさい」
それはアコちゃんでも先生でもなく
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「…………………………里田先輩……」
メガネ越しに涙を溜める里田先輩だった
「今日はOB会で
販売店の手伝いだったからその帰りよ。
川上さんは会社の会議が終わり次第
いらっしゃるそうよ。」
ここ、いい？
と近くにあった椅子に座った里田先輩は
少し大人びていて
こんな状況でも不意に綺麗だと思った
「目を覚ましてそうそう悪いけど
なんで2人は私と川上さんに
病気のこと黙ってたの？」
「ごめんなさい心配かけたくなくて」
「いつからなの？治るのよね？」
「入院して手術すれば治りますよ！ね！A！」
「無理だよ」
「え？」
「前に言われたの。
腫瘍が大きくなって手術で取り除くのが
難しい場所にもでき始めてるって。だからあと」
ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｯ
「ごめん遅くなりまし……Aちゃん……？
Aちゃあぁああああん！！！！！！！！！！！」
「か、川上先輩！？」
「心配したんだよー！
いきなり倒れて目覚めないとか言われて！！」
ほんとにもー！と抱きついてきた川上先輩も
いつものジャージ姿とは違って
ピシッとした淡いピンク色のスーツを着こなしていた
季節はそろそろ5月
先輩達は私が眠っている間
大学を卒業して就職していた
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作者名：よこざわ | 作成日時：2018年1月26日 23時
