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「あ、え？」
「あ、すみませんあの、えっと、絵が上手って言われたのすごく嬉しくて、それで、あの、いらないですよねこんな絵(笑)」
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何やってんだろ私
そりゃ初対面にいきなり絵をあげるなんて言われたら困るよね
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早くこんな絵を捨てたくて
思いっきりぐしゃぐしゃに丸めた
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「ちょちょちょっ！待って待って待って！」
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私の手を停止するために握られた手
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あったかい
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まるで魔法にかけられたようにゆっくり開いた私の手から
くしゃくしゃに丸められた絵を綺麗に開いて
じっとその絵を見つめていた
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「いらないですよね。初対面の人から貰った絵なんて！(笑)すみません。忘れてくだ……」
「貰う。」
「え？」
「貰います。俺、絵のこととかよく分からないけど、この絵好きだから。」
「あ、え、っと、あの、あ、ありがとうございます！」
「こちらこそ。すげー嬉しい。」
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そうして私にニコッて微笑んだとき
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胸が高鳴る音が聞こえて
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「じゃあえっと、その、お、お気をつけて！！」
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もしかしたら彼に聞こえてしまったのではないかという恥ずかしさで
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全力で走ってその場から離れてしまった
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「……今のなに？」
発作？にしては前に起きたときと違う……
まだドキドキしてる
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「おばあちゃん……。」
私の絵を、私が下手だなと思った絵を受け取ってくれる人がいました
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___________絵、上手いね。
___________まじで？ありがとう。大切にするわ。
あの日、わたるくんはそう言って私の書いた絵を受け取ってくれました
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さっき受け取ってくれた彼はあの絵を大切にしてくれるでしょうか
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私は多分大事にしてくれる気がするんです
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だって
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「わたるくん……。」
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彼からわたるくんと同じ香りがしたから
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また、会いたいと思ったから
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作者名：よこざわ | 作成日時：2018年1月26日 23時
