ジェネハウス。#1 (ページ10)

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side亜嵐

亜「ありがとうございました」

そう言って診察室を後にする。

帰る間際に、健二郎さんは涼太の頭をそっと撫でながら。

健「いっぱい甘えていいんだよ。しんどいって言っていいんだよ？抱っこしてって言っていいんだよ？涼太は双子のお兄ちゃんだけど、亜嵐は双子のお兄ちゃんであり、涼太のお兄ちゃんでもあるんだから」

その言葉に小さく応えた涼太。

小児科からの帰り道は、大樹が遊び疲れた双子を抱っこして家まで送ってくれた。

2人を抱っこするなんて大変だから代わろうと思ったんだけど、亜嵐は涼太を抱っこしてあげないと、と言われると今日だけは言い返せなかった。

散々遊んだうえ、今日は昼寝の途中で無理やり起こしたのもあって。

双子は一切起きることなく眠っていた。

だけど熱のある涼太は、なかなか思うように寝付けないようで。

涼「やぁっ、」

亜「はいはい、大丈夫だよ。ちゃんと抱っこしてるからね」

寝ては起きて、起きては寝てを数分おきに繰り返している。

結局抱っこ紐を外せず、龍友くんが事前に準備してくれていた夜ごはんをレンジで温める。

亜「涼太、ゼリー食べれる？」

本当はお粥でも食べさせてあげたいんだけど、あいにく俺は料理の才能が皆無で。

冷たいからどうしようか悩んだけど、ゼリーの他に食べやすいものが見つからず。

涼「やぁっ……」

スプーンで小さくすくって涼太の口元に近づけてみるけれど、すぐに顔を背けて嫌がる。

薬飲ませるためにも、少しくらい食べて欲しいのに。

亜「見て、亜嵐くんも食べるよ？」

そう言って、そのスプーンにすくったものを自分の口に運ぶ。

そしてそれから。

亜「美味しいよ。ほら、涼太もあーん、」

もう一度スプーンを近付けると、今度はパクッと食べてくれた。

だけどすぐにいらないと表情に出され、終了。

そして薬。

本来なら嫌がるであろう、薬。

だけど、涼太は。

生まれつき身体が弱く、何度も風邪を引いては悪化してを繰り返していた涼太は。

いつしかすんなりと薬を飲むようになっていた。

小さいながらに、もう諦めがついているかのようだった。

亜「もう寝ちゃおっか」

熱が高いのと、薬の副作用でかなりの睡魔に襲われている涼太を優しく揺らす。

涼「ありゃん、くっ、」

弱々しいけれど、必死に俺にしがみつく涼太。

亜「大丈夫、ずっと抱っこしてるよ」

そう言っては、何度も頭を撫でた。