ジェネハウス。#1 (ページ9)

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side亜嵐

大「亜嵐、健ちゃんが涼太のこと迎えに来てだって。隼と玲於は俺が見とくから、涼太のとこ行ってあげて」

大樹のスマホの電話が鳴ってしばらくしてから、俺にそう言った大樹。

隼「ありゃんくん、どちたの？」

玲「あしょばにゃいの？」

大「ちょっとだけ俺と待ってような」

キョトンとする双子を大樹に預け、急ぎ足で小児科へ向かった。

健「お、来た来た。涼太、兄ちゃん来たぞ」

亜「健二郎さん、すみませんでした…」

待合室に涼太を抱っこした健二郎さんを見つけ、そのまま診察室に連れて来られる。

健「涼太、ただの風邪だよ。もともと身体弱いから一気に熱上がっちゃったから本人も亜嵐もびっくりしたかもだけどね。しばらく安静にしてたら大丈夫だよ」

亜「ありがとうございます」

そう言って涼太を引き取って抱っこすると、まだ少し熱い体温が伝わってくる。

汗でペッタリとおでこに引っ付いた前髪を掻き上げてやると、少し眉間にシワを寄せる涼太。

涼「んぅ……」

起きてはないんだけど、愚図るような辛そうな声が聞こえて、胸が締め付けられた気がした。

亜「ごめんな、しんどかったなぁ」

たぶん、俺が双子を抱っこしているときにはすでにしんどかっただろう。

今思えば、涼太は握りしめていたクレヨンを動かすことはなかった。

涼太の熱を測りながらチラリと見たぬりえは、一切色付けされてなくて真っ白なままだった。

もしかして、俺が双子をあやしていたから自分が辛いことを悟られないように、ぬりえをするフリをしていた？

しんどいのをずっと我慢して、双子が眠るまで耐えてくれていた？

そう思うと、涙が零れた。

健二郎さんは、何も言わない。

ただ、俺の頭をクシャッと撫でた。

そして。

健「あんな手のかかる双子、よく連れて病院まで来たな。涼太を抱っこしてあの2人を連れて歩いて来るなんて。亜嵐はよく頑張ったよ」

その言葉は、俺の涙腺を簡単に崩壊させた。

涼「んぅ、んっ、」

亜「りょぉ、た、？」

腕の中でモゾモゾ動いた涼太はゆっくり目を開いて。

涼「ありゃん、くっ……ちんどい？つらぁ、のっ？」

眉間にシワを寄せる涼太。

亜「違うよ」

そう言って笑いかけると、パァッと笑う涼太。

涼「りょた、ね？ありゃんくん、ちゅき、なの、」

亜「ん、亜嵐くんも涼太が好きだよ」

そう言って、まだ熱い涼太のおでこに自分のおでこを引っ付けた。