僕は僕の青春を取り戻す【∞】2 (ページ17)

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Article.3 ページ17

◎雑誌連載

【3】

なかなか変われない自分に苛立ちを覚える日々が続いた。せっかくダンスを練習しても、ファンの目の前に立つと無難に踊ろうとして消極的になってしまう自分がいた。

自分はなぜできないのか。それは、ファンのことを怖いと思ってしまう自分がいるからだと白岡さんは気づいていた。白岡さんは次第に、自分の気持ちを押し殺してステージに立つようになった。ライブDVDに映る自分が、まるで別人のように思えた。

「自分の気持ちを無にしてライブに臨んだら、もう何も考えなくて済むことに気づいたんですよね。いつの間にか次の曲になってるし、ライブも終わっている。でもそれと引き換えに、MCでは上の空だから意味わからんこと喋っちゃうし、ファンサもうまくできないんですよね。それでもファンの人は、あの子なんかおバカなこと言ってるな、可愛いな、って言って受け入れてくれてたんですけどね。困ったことがあったらとりあえずニコニコしておけばいいっていう対処法を身に着けたのもこの頃です。」

たくさんの人を笑顔にしたいという思いでジャニーズ事務所に入ったはずだった。なのに、気づけば目の前にいるファンの人達から目を背けるような行動をとっていた。ファンにどうやって自分の思いを発信したら良いのかが分からなくなり、会員限定のブログも更新するのが苦痛になった。

そんなある日、白岡さんはインターネット上にアップされている自身の批評コメントを見つけた。それがすべての始まりだった。

「二十歳になった頃記念に思い切って金髪にしたんですよ。でもそれがあまりよくなかったみたいで、黒髪に戻してほしいっていうコメントをネットで見つけたんですね。そしたら芋づる式に色んなコメントが出てきて、途中から加入したくせに偉そうとか、ライブで態度が悪いとか、そんな意見があったんですよ。」

気が付けば掲示板を見ることが日課になっていた。髪型を指摘されればすぐに美容院に行って髪型を変え、言葉遣いを指摘されればすぐに変えるように努力した。

「今思えば、少数の意見に振り回されてみっともなかったなと思います。でも、当時は全然周りが見えていなかったし、メンバーにも相談できなかった。」

ネットの掲示板を巡り、自身への中傷コメントを集めた資料を作った。自分がどう思われているかを隅々まで研究しなければならないという思いに駆られ、眠れない日々が続いた。

資料のページ数は、半年余りで50枚を超えた。