参 ページ3
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「私はこの家の主、
客間に彼を案内し、名を名乗る。床に手を付き頭を下げると相手も背筋を伸ばし口を開いた。
「炎柱、煉獄杏寿郎だ!骨折が治るまでの間世話になる!」
「柱!?骨折!?」
彼の_炎柱様の言葉に思わず叫び声を上げた。まさかこの方が"柱"の一人だなんて、更には骨折をしていたなんて。
「なに、手当は済んでいる!療養だけさせて頂きたい!」
「左様でございますか…」
一体どこの骨が折れているというのか。普通、骨折をすればそこを庇うように身体を動かす。しかし炎柱様はどこかを庇っている風には到底見えず、また痛がっている素振りも見せなかった。
「本来ならば自宅に戻りたいのだが、ここから数時間走るともなれば怪我が悪化すると隠に怒られてな!」
呆気に取られる私を差し置いて、笑顔でそう話す彼。いや、そんなに大きな声出すのも体に障るはずなんだけど…
兎にも角にも、本当に不思議な人である。そして柱というのだからかなり強い剣士なのだろう。
柱とは、十二鬼月か五十体の鬼を倒さなければなることのできない最上階級。気配のしない歩き方も、怪我を悟られない胆力も、全ては彼が柱である所以であるはずだ。
「お怪我の様子は私が診させて頂きます。この辺にはお医者様がいない故、どうかご承知置き下さい。父が医者だった為ある程度の知識はございます」
「わかった!君に任せよう!」
そして、彼は酷く真っ直ぐで汚れなき心を持っていた。瞳を見ればわかる。どこまでも澄み渡り、奥底では炎のような光を宿している。
多くの命を救った人の目。人を慈しむ、尊く思う目。私にはわかる。身近に父と母がいたから。多くの鬼殺隊士を見守っていたから。
そして炎柱様は人一倍それが色濃かった。誰よりも人を想っているのだと、すぐにわかった。
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シルビア★姉貴 - 中村さん» もし良ければ私と鬼滅で合作しませんか?? (6月14日 16時) (レス) id: e86143b1ee (このIDを非表示/違反報告)
中村(プロフ) - NIKOさん» お読みいただきありがとうございました。感動していただけたならばとてもとても嬉しいです。 (6月11日 18時) (レス) id: 97c232aa64 (このIDを非表示/違反報告)
中村(プロフ) - Lullさん» コメントありがとうございます。沢山お褒め頂けて嬉しいです。続編もお読みいただけると幸いです。 (6月11日 18時) (レス) @page29 id: 97c232aa64 (このIDを非表示/違反報告)
NIKO - 面白過ぎですよ…涙腺崩壊させる気ですか? (6月11日 9時) (レス) @page29 id: 412fd2ba39 (このIDを非表示/違反報告)
Lull(プロフ) - 完結おめでとうございます。占ツクにはなかなか無い地の文多めのお話で雰囲気がとても好みでした……煉獄さんとの日々が丁寧に描写されていて没入がとてもしやすかったです。続編楽しみにしております。 (6月6日 20時) (レス) @page24 id: 96403d796f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作成日時:2023年6月4日 0時