いい女 ページ21
紅葉「...」
俺たち兄弟を縛るものは、一つもない。この儀式をやり遂げて、もう一度兄貴と遊びたい
池の前に二人で立ち、共に唱え始める
紅葉「尾崎家の守護神よ。七伎悠平、もとい尾崎春雨に加護を与えたまえ。当主尾崎紅葉の命を分け、恵みを与えよ」
悠平「尾崎家の守護神よ、尾崎紅葉の少しの命を我に。病弱な身体を持つ七伎悠平、もとい尾崎春雨の身体に恵みを分けてください」
言葉で誠意が伝われば、守護神は反応してくれる。半分適当すぎだろうと思ったが、本当に出てきた
俺たちの本気が伝わったのか、守護神は俺から体力を吸い取り始めた。兄貴が楽になっていくにつれ、俺は少しずつ弱い身体へと退化していく
紅葉「...もう少し...もう少しで、兄貴も認められる...」
悠平「叔父上は生きているのか?」
紅葉「...しぶとく」
悠平「それじゃあ...後は叔父上に認められなきゃな。先代当主、父上の兄に。」
守護神は俺たちの前に姿から消した。儀式が終わったと見ていいだろう
「尾崎家は呪いでもなんでも使えるの?」
紅葉「使えるよ。俺がお前にそうしたように...ただお前の場合例外だったな。俺と同じ姿をした本物と会っている...そのせいで余計に苦しんだだろ」
「本物に会えるはずがないでしょ?」
紅葉「...覚えてないか。安心しろ、呪いは解いてある。理由とかは全部終わってから説明するよ」
「デカイな」
悠平「先代様はこのお屋敷で暮らしているんだ。俺は嫌いだけどな」
「私も吐きそう...門前で待ってろって言われたけど、もう吐いていいかな...」
悠平「発言自体死罪だぞ。やめとけ」
読者には多分言ってないから説明しよう。私は金持ちで屋敷を持つ奴が嫌いだ
高いものを食いたい精神、人を見下しているようなあの目、自分が特別だと思っている奴は皆嫌いだ。滅べと思っている
紅葉「叔父上様と話してきた。...認められたぞ、兄貴。」
悠平「...そうか」
紅葉「嬉しくないのか?もう誰も兄貴を否定しないんだぞ」
悠平「嬉しいさ。これで美人さんとまだ一緒に暮らせるってこった」
「他の女口説いてるくせに」
紅葉「やっぱり...一緒には暮らせないのか」
悠平「またいつか、お前に会いに来るよ。今度は正門から堂々とな」
紅葉「...絶対だからな。ずっと待ってる」
悠平「いい女に巡り会えよ、兄弟」
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作者名:琲世 | 作成日時:2019年3月14日 10時