with you3 【Kazuma.k】 (ページ4)

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「お待たせ、待った？」
「いや別に…」
「あれ？なんか緊張してる？デートだから？」
「じゃない！ノーデート！一緒に行動する！だけ！」
「え？それってデートじゃん」
「違います、断じて」
「え～そんな照れなくてもいいのにい～」
「ちがっ照れてない！」

約束の時間を少し過ぎて、悪びれる様子もなく謝罪を述べながら現れた北ちゃんは、この生活で見慣れてきたとは言え確かに、流石に、格好良い。

寮の中で見る北ちゃんは、大抵が見た目も中身もオフモードだから、今日はそのギャップというのもあると思う。
本日の、仕事終わりとは言え撮影でセットしてもらったままだという髪型とか、いつもよりは気持ち気合の入っているような気もする洋服も相まって、何か、3割増しくらいには格好いい。
…ような気がしないでもない。

…やばい、コレ、私、完全に雰囲気にあてられている。

これじゃあ北ちゃんの思う壺じゃないか。
一旦落ち着いて冷静になろうと眉間をおさえて目を瞑り一息つくと、次に目を開けた時にはぱっちりおめめがこちらを見上げていた。
思わぬ至近距離にびっくりするけど、綺麗な瞳と目線が合うと何だかすぐに逸らせない。
それから、暫く。

「…見惚れてる～」
「ない！！！断じて！！！」
「素直になればいいのにい」
「北ちゃんがそのノリやめてください」
「ノリじゃないしデートだし」
「ハイハイ。ねえていうかさ、これもしかして、」
「そ、来てみたかったんだよね、ロマンチックじゃない？こういうの」
「はあ、まあ恋人同士には最適かと思うけど…」
「うん、だから俺らに最適じゃん」
「いやちょっ」

そう言うが早いか、私よりも大きな手に左手を掬われて気付けば指先まで絡められて、引きずられるようにして目的地へ向かうことになった。

いや、ちょっこの人本当に！周りの目！
ていうか私の意思は？！
ご機嫌に早足で進んでいく北ちゃんを前に足を齎せながらも着いていくのに精一杯で、ろくな抗議の声を上げることもままならなかった。

くそう、これが罷り通ってしまうような彼が今は酷く憎い。

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